思い出



「へーシンって妹がいるんだ」
「はい、これがもう・・・うるさいばっかりで・・・」
キラとシンは生徒会室で2人っきりである。
何を話せばいいのか分からなかったシンが何とか搾り出した話が妹の話だった。

「キラ先輩は兄弟いないんですか?」
「・・え・・?・・・」
思わぬふりにキラは少し動揺する。
最近ではカガリと双子だということを意識することがあまりなかったからだ。
意識することがなかったというか、誰も疑わず、とくに生活するうえで困ることもなかったため、他の人の眼を意識していなかった。

「・・?どうかしましたか?」
少し黙ってしまったキラにシンは聞き返す。
「いや・・・うーん・・・僕も妹・・がいるよ」
妹、そうカガリの前で言ったら「私が姉だ」と怒りだしていただろう。
「妹がいるんですか!?へぇ!何歳違いですか?」
「え・・っっ」
シンの突っ込んだ質問にキラはまた困る。

そこまで聞くとは・・いや、普通は聞くよね・・・。
なんて答えればいいんだろう・・・
キラはもやもやと頭の中で悩んでいた。

「カガリとはイトコなんですよね。ラクス先輩に聞きました」
「・・・うん」
「じゃあ、小さい頃のカガリも知ってるんですか?」
「知ってるよ」
妹の話はどうなったのだろう・・・
キラはそう思いながらも話が変わったことに安堵していた。

「やっぱり昔からあんな感じなんですか?」
「そうだね・・」
キラは少し懐かしそうに微笑む。
「負けず嫌いだけど、すごく優しくて・・・一緒にいると元気になれるよ」
「やっぱり」
シンは満足そうにいった。
「僕よりも男らしかったなぁ・・蛇なんか手で掴んでぶんぶん振り回してたよ
やめてっていっても、男の子だろってますます近づいてくるんだ」

「へぇ・・」
シンは楽しそうに話すキラを少し不思議そうに見た。

「公園にある一番高い木に登るって言い出したことがあってさ、危ないからやめろっていったのに
平気だってどんどん登っていったんだ。
で、一番上まで登ったところで、急におとなしくなっちゃって、どうしたのかと思ったら
降りれないってぽそっと言うんだ。
下から見てるより、登ったら高かったんだろうね・・。
誰か呼んで来るっていったら恥ずかしいからダメだって泣きながら怒るんだ。
でも、このままじゃ降りれないだろっていっても、嫌だって泣くんだ。
仕方ないからとりあえず僕が登って助けようとしたんだけど、登るだけで精一杯でさ、
結局2人で木の上で泣いちゃって・・通りがかった人が気づいて助けてくれたんだ。

降りた後、カガリが僕の手を握って謝ってきたんだ。
僕まで登らせてごめんって・・・泣かせてごめんって・・・。
気にしなくていいのにね。
僕はカガリを助けたかったから登ったんだ・・・でも、助けられなくて・・・
謝るのは僕の方だったのに・・・」

あはは・・・とキラは笑うとシンのほうを見た。
「え?」
シンは先ほどとは違い不機嫌極まりない顔でキラを見ていた。
「な・・・何・・?」
キラは思わず聞く。

「なんか・・・キラ先輩とカガリって・・・恋人みたいじゃないですか・・・」
ぽそりといったその言葉はキラの耳には微かにしか届かなかった。
「ごめん聞こえな・・・」
「ラクス先輩がいるのに!!」
キラの耳元に大声で怒鳴るとシンは生徒会室から走リ去ってしまった。

「・・・いた・・・」
シンの大声に耳を押さえるキラ。
カタン・・
誰かが部屋に入ってきた。
キラはそちらに目を向ける。
「まぁ、仕方ないとはいえ、あんまりいい気はしないな」
そこには笑顔ながら頭には怒りマークを浮かべているアスランがいた。

思い出にも浸れない・・・
キラはがっくり肩を落とした。







あとがき
キラカガの思い出話書きたかったのです★
キラカガも大好きな管理人★キョウダイとしてね