輝く星〜大好きな人〜



「あ、カガリ先輩!!」 図書室で見かけたのはカガリ先輩。 私の大好きな人だ。 「・・ミーア・・」 カガリ先輩は私に目を向けると微笑んでくれた。 でも、なんだか難しそうな顔。 ミーアはカガリの持っている本に目を向ける。 「どうしたんですか?」 カガリ先輩に図書室は似合わない。 「文学で課題がでてさぁ・・・なんだっけ・・誰か偉い人の本を読んで感想を書けってやつ」 本を読むなんて面倒なこと私はやりたくないが、課題なら仕方ない。 「大変ね〜」 「ところでミーアは何しにきたんだ?」 「・・・・」 ミーアはその言葉にツンと口を尖らせる。 カガリはそんなミーアを不思議そうに見た。 「でね、その説明が分からないから聞き返したのに逆切れされたの!」 「そりゃ先生が悪い。教えるのが先生の役目だろ!」 「でしょ!大体あの先生まえから・・と・・・」 ミーアは本をしまおうとした手を止める。 「カガリ先輩ごめんね。手伝わせて・・・」 「いや、私もこうしてたほうがいい本が見つかるかと思って」 ミーアは逆切れした先生に本の片づけを言い渡されたのだ。 それを聞いたカガリはミーア1人では大変だろうと手伝うことにした。 いつからこんな仲になっただろう・・・ ミーアは本をしまいながらふと考える。 最初は嫌いだった。 私の大好きなアスランを奪った人。 ずっとずっと好きだったのに、いきなり現れてアスランを1人じめした人。 こんな人のどこがいいのか分からなかった。 「ミーアはどんな本が好きなんだ?」 カガリは手に取った本をペラペラとめくる。 「私?そうね・・・ファンタジーものはけっこう好きかも」 「はは。ミーアに似合いそうだな」 「カガリは?」 「私か?私は・・・そうだな・・・健康法とか、正しい食事の取り方・・とか?」 「やだカガリ先輩らしい!」 ミーアはバンっとカガリの背中を叩く。 カガリはそうか?と首をひねる。 「でも、カガリ先輩は本を読んでるより、元気に動いてる方が似合ってるわよね」 「私もその方が好きだな!」 2人は笑い合う。 だけど・・・この人は太陽みたいに明るくて、真っ直ぐで・・・ こんなところにアスランも惹かれたのかと思うようになった。 「よしっと!」 ミーアは最後の1冊を棚に戻すとぽんぽんとスカートを叩く。 カガリもそれにあわせるように立ち上がる。 「もういいのか?」 「はい!ありがとうございました!」 「そっか、それじゃあ」 カガリはそう言って図書室から出ようとするが、何かを忘れている気がした。 あれ?私は何のためにここに来てたんだっけ? 「あ!!!!」 カガリは何かを思い出すと、体をひるがえし図書室へと体を向ける。 「きゃっっ」 「わっ」 見えたのはピンクの髪の毛 やばいっっ カガリはとっさにそう思うと落ちていく体をひねる。 「っっっ」 バタドタバサ!!!! その音がやむまでしばらくの時間がかかった。 恐る恐る瞳を開くとやはり見えたのはピンク色の髪で・・・ 「ミーア大丈夫か!?」 「ったたた・・・・」 カガリの声にミーアは体を起こす。 と、自分がカガリの上に乗っていることに気づいた。 「わぁ!カガリ先輩ごめんなさい!!」 体重を自分の腕で支える。 「私は大丈夫だ・・・」 「えっと・・・」 どうなったんだっけ・・とミーアは目を泳がせる。 「すまない。本を借りにきたのに借りてないことを思い出して・・・」 ミーアの用事が済むと、自分の用事もすんだ気がして帰ろうとしてしまったのだ。 しかし、それに気付き戻ろうとしたところ後ろにいたミーアにぶつかってしまった・・ようだ。 辺りを見回すと片付けたはずの本が散らばっている。 「あっちゃー・・・」 どうやら本棚にぶつかってしまったらしい。 ガラッッ そのとき、図書室の扉が開く音がして2人は思わずそちらに目をやる。 「・・・・・・・・何やってるんだ・・・・・・?」 現れたのはアスランだった。 カガリはミーアに乗っかられるように、ミーアはカガリを押し倒した状態でアスランを見ていた。 じっと自分達を見つめたままのアスランに2人は自分達の姿を見下ろす。 なんとも・・怪しい格好・・・ カガリが起き上がろうと体を動かすと、ぎゅっと何かに掴まれる感覚を覚える。 「仲良くしてるの♪」 ミーアがカガリをぎゅっと抱きしめていたのだ。 「・・・・・・・・・・・・・」 ピキッ アスランは一瞬にして顔を引きつらせた。 ずかずかとカガリに歩み寄るアスラン。 「え?ア・・アアスラン??」 カガリはそんなアスランにどもる。 「カガリは俺のだ!」 ぐいっとミーアの反対側からカガリを抱きしめるアスラン。 と、今度はミーアが顔を引きつらせる。 「私達には女の友情があるのよ!」 更にカガリをきつく抱きしめるミーア。 「俺たちは恋人だぞ!」 「私達は友情があるもの!」 「ちょっと・・・2人とも・・・っ」 カガリが仲裁の言葉を入れるがその声は届かない。 「カガリ行くぞ!」 「カガリはまだ私といるの!」 「いない!」 「いるの!」 「いない!」 「うるさーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 バコンといい音が図書室に響く。 「もう知らない!!」 カガリはそう言い残すと図書室を走り出た。 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 アスランとミーアは目をぱちくりさせ、カガリのいなくなった空間に寂しく手を伸ばしていた。 「怒らせちゃったじゃない」 「知るか」 静かになった図書室では2人の声が寂しく流れていた。