アスランの苦悩2

「幽霊?」
カガリは不思議そうに言った。
「はい、1階の女子トイレに出るそうですわ」
4人が仲良くお昼ご飯を食べているときラクスが噂話を切り出した。
「ああ、それなら知ってる。夜、忘れ物を取りに来た子が見たんでしょ?」
キラはうれしそうにその話にのってきた。
「はい」
「どうせ見間違いだろ」
アスランは幽霊なんてものは信じない。
大半のものが間違いだと科学で立証されているし、そんなものを信じたところで何にもならない。
「でも、怪談ものって学校にはつきものだよね〜」
「やはり何かしらあるのかもしれませんね」
そんなことを話している横でカガリは箸が止まっていた。

夕方、生徒会の仕事も終わり、ラクスとキラは職員室に鍵を返してくると出て行った。
アスランとカガリは帰り支度を終え、玄関で待とうと生徒会室を後にし下駄箱まで来たとき、
「なぁ・・・」
とカガリが覇気のない声を出した。
「トイレ行きたいんだけど・・・」
いつものカガリなら「トイレ行って来る、先に行っててくれ」などと走り去っていくのだが、
今日のカガリはウジウジとして何か言いたそうにしている。

あ・・・
アスランは1つの考えが浮かんだ。
ここは1階・・1番近いトイレはラクスの言っていた幽霊が出るというトイレだ。
「怖いのか?」
アスランがそういうと、
「こっ怖くなんかないさ!!」
カガリはいかにも怖いんですっていう顔を隠しながら強気に言った。
アスランはプッと心の中で笑いながら
「俺も行きたかったんだ、一緒に行っていいか?」
「し、仕方ないな。一緒に行ってやるよ!」
カガリは偉そうにそういった。
バレバレだよ。
アスランはそんなことを思いながらカガリと一緒にトイレへと向かった。

アスランはトイレに入ったふりをして女子トイレから少しはなれたところでカガリが出てくるのを待った。
そのとき、カシャンという音とともにカガリの「わっ」という声が聞こえた。
「カガリ!?」
アスランは慌てて女子トイレに駆け寄るとドアからカガリが飛び出してきた。
「どうしたんだ!?」
アスランの声にまでカガリは驚いたのか、
「うわああああぁぁぁ!!」
と叫び声を上げてアスランにラリアットをかまし走り去っていった。

1人残されたアスランは痛い・・・と寂しく思いながら胸をさすった。

でも、あんなに気の強いカガリでも幽霊は怖いんだ・・・
と、意外なカガリの一面を見れて得をした気分になった。





補足

ラリアット【らりあっと】
分類 ダメージ部位
■打撃
●正面 後頭部・首・胸
解説
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自分の腕を相手の首・胸を目掛けて叩きつける技。
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立っている相手の正面や背面を目掛けて放つ。

自ら走り込んで、相手の首元や胸を目掛けて、
自分の腕を振りぬくように打ち当てる技。

同じように後頭部を目掛けて放つ場合も。

走って勢いをつけずに、至近距離で放つ場合も。
(ショートレンジラリアットとも呼ばれる。)
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腕の角度やフォームなど、
選手によってクセがあり微妙に違う。

単純に見える技だが、
体重の乗せ方、インパクトのタイミングなど、
高度なテクニックを必要とする技とも言われる。




あとがき
カガリは自分が足で蹴ってしまったものの音にびっくりしただけなんですけどね(笑)
幽霊ではありません。