イザークの日々

最近、生徒会に新しいメンバーが加わった。
カガリ・ユラ、最近転校してきたばかりらしい。
なぜ転校してきたとたんに生徒会に?
そう疑問に思っていたが、どうやらキラ・ヤマトのいとこらしい。

カガリ・ユラを初めて見た時、はっきり言って驚いた。
話し方は男っぽいし、遠慮のカケラも見えない。
それより驚いたのはアスランと普通に話していることだ。
詳しいわけではないが、生徒会として一緒に活動している間のあいつの女に対する態度は見てきた。
いかにも「興味ない」「しつこい」「邪魔」を隠しもしない顔で見ていた。
こっそり腕組みしようとした女がいたがアスランの腕に手がかかる前に払いのけられていた。
警戒心は強いし、人に冷たいが、あの甘いマスクと頭脳のよさに惹かれて告白する奴は絶たない。

そんな奴が・・だ、あのカガリ・ユラには笑いかけ、嫉妬丸出しの顔をするのである。
奴をそこまでさせるカガリ・ユラに興味を持つなというほうがおかしい。


廊下でふと目に入る蜜色の髪。
俺はついついその持ち主を目で追っていた。
前からやってきた友達だろう相手に片手を上げてあいさつしている。
と思ったら後ろから教師に声をかけられ、驚いた顔をしたかと思うと走って逃げていた。
逃げたはいいが、前を見ずに走っていたため向こうからやってきた男子生徒にぶつかっってこけた。
起き上がるとその男子生徒に謝っている。
そこにアスランがため息をつきながら(表情的に)やってきた。
アスランはカガリと一緒に教師に謝っている。
教師が去っていくとカガリ・ユラは楽しそうにアスランに話しかけだした。
最初はあきれた顔をしていたアスランだがだんだん表情がうれしそうに変わっていく。

と、そのときアスランがこっちを向いた。
向いた直後はうれしそうな顔をしていたのだが、俺を見るやいなや途端に険しい顔に変わる。
まるで
「なに見てるんだ」
と言わんばかりだ。
俺はその場を後にした。
恋をするとああなるものなのか・・?
イザークは自分が恋をするのが怖くなった。

「お姫さんに恋でもしちゃった?」
そんなことを考えてるイザークにディアッカが声をかけてきた。
「は?」
イザークは言葉の意味が分からなくて聞きかえす。
「俺、見てたんだよね〜イザークがお姫さんをじっと見てたの」
「ああ、あれはだな」
アスランが好きな女というのはどんな奴か興味があって・・・と続けようとしたが人のことをベラベラ話すのはよくないと、口をつぐんだ。
「珍しいよな、イザークが女の子見てるって、いつもアスランにしか興味ないみたいだし」
「気持ち悪いことを言うな!」
アイツはいつもいつもすました顔をして人の先をいく。それが気に食わないだけだ。
「ま、どうでもいいけど、人の女に手を出しちゃダメだよ」
そう言い残しディアッカは去って行った。

人の女に手を出す?
なにを言ってるんだあいつは?
人の女・・・
「なぁぁぁぁに!?」
少し考えていたイザークだがその言葉の意味を理解し叫んだ。
俺がカガリ・ユラに恋心があるって言いたいのか!?
まさか!
あれはアスランが好きな相手だから興味があるだけだ!!
決して俺が・・俺が・・・。
イザークはそう言い聞かすように教室に戻っていった。

はたしてイザークはカガリに恋心を抱き始めていたのか・・・
それは本人にも分からなかった。




あとがき
ま、イザークは恋に気づかずそのまま終わっちゃうかなって感じですよね。
最初の段階から相手がいたとなると無意識にセーブかけるでしょうし。
そんな可愛い恋もいいかな・・なんて♪

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