「でもたいしたことなくて良かったですわ」
ラクスはりんごを剥いている。
「連絡もらったとき、心臓止まるかと思ったよ」
キラはりんごを食べている。

「・・・・・・・・・・」
アスランはカガリを睨みつけていた。

「そんな顔するなよ、結果OKなんだから」
「結果OKじゃないだろ!!!」

「何考えてるんだ!俺がそんなこと望んでたと思うのか!?」
「いや・・・」
「こんなことされるぐらいなら記憶が戻らない方がマシだ!下手したら死んでたかも知れないんだぞ!」
アスランはカガリを睨みつけたまま叫び続ける。

マーナの叫び声が聞こえたとき、何があったのか・・・



時の砂〜4




「カガリ様〜!!!!」


マーナの叫び声が聞こえるとアスランを鋭い痛みが突き抜けた。
カガリに何があったんだ!?
部屋からでると、そこにカガリの姿はない。

走りカガリを探す・・・
と、階段の下にマーナが見える。
そしてその横には・・・
「カガリ!?」
アスランは飛び降りるように1階へ降りた。

「カガリ!!!」
「・・・アス・・・」
アスランは揺らさないようカガリに呼びかける。
カガリは階段から落ちたのか横たわったままぐったりしていた。

「・・記憶・・・」
「話すな!マーナすぐ病院へっっ」
「戻る・・かな・・?」

カガリ・・・
まさかその為に・・・?




「でも、記憶戻ったんだし良かったじゃないか」

「「よくない!」」
「よくありませんわ!」
3人の言葉が重なる。

「今回は脳震とうですんだけど、どうなってたか分からなかったんだよ!2度とこんなことしないでね!」
キラは幼い子を叱るように言い聞かせた。
「しないよ・・」

でも、あそこまで豪快に落ちるとはおもわなかった・・・。
中段ぐらいから落ちればいいぐらいのショックが加わるかと思っていた。
だが、勢いあまって1番上から転がり落ちてしまったのだ。

恥ずかしくて本当のことなど言えない・・・

カガリは視線を感じそちらに目をやると怒ったままのアスラン。

「キラ・・・アスランと2人にしてもらってもいいかな・・・?」
キラは仕方ないなと席を立った。
ラクスもそれに続く。
「では、お大事に」


沈黙が病室を包んだ。

「えっと・・・心配かけてすまなかったな・・・」
アスランは何も答えない。
「・・記憶・・戻したくて・・」
やはりアスランは何も答えない。
「・・・・・・・」
カガリに怒りがこみ上げる。

なんだよ・・・人が謝ってるのに無視するなんて。



「後悔してるんだ・・・」

「え?」

「拒絶されるのが怖いとか、苦しめたくないとかそんなこといって俺何考えてるんだろ・・
カガリが生きてるだけで、笑ってるだけで俺も幸せなのに・・・」

「アスラン・・・」

「カガリが倒れてるのを見たとき、心臓が止まるかと思ったよ。
何もいらないからカガリを助けてくれって・・そんなこと思ってた」

「私はっっアスランの想いを聞いて・・こんに想われてるのにそれが分からないなんて・・・
そのほうがずっと辛い・・怪我をするよりずっと辛いと思ったんだ」

「・・・頭・・大丈夫か?」
アスランは優しくカガリの髪に触れる。

「なんかその言い方・・やだ」
頭が悪いみたいじゃないか。

「悪い」
アスランはクスリと笑う。

「私・・考えたんだ・・・どうしてアスランだけ忘れたのか・・・」

「襲われたとき思ったんだ。ここで死んだらどうなるだろうって・・・・
オーブはどうなる・・・でも、キラがいる。
キラならオーブを守ってくれるって思った。
アスランは?
私のことを大切に想ってくれてるアスランから私がいなくなったらどうなるだろうって・・・
今は国が忙しくて恋人らしいことしてあげられなかったから・・・
それが心残りだなぁ・・なんて」

カガリはぎゅっと布団を握り締める。

「それで、1番にオーブのことを考えた自分に気づいたんだ」

「アスランはオーブを守り私を守ってくれているのに私は国を第1にしか考えられないんだって思ったら
なんだか・・・私・・・」

カガリは瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。

「カガリ・・・」
「どっちかなんて選べないんだ・・・選べなかった・・・
指輪を外して国を取ったつもりでいたけど、
でもアスランは側にいてくれて、影でも表でも私を守ってくれている・・・私はずるいんだっっ」

あんな短い時間だったのに走馬灯のようにいろんな想いが駆け巡った。
自分で離れたのに、最後にはアスランのことを考えてしまう。

「分かってるよ・・・カガリがどれほどオーブを愛しているか・・・」
アスランはカガリをぎゅっと抱きしめた。

「俺はカガリに国を捨てて欲しくなんてない。
オーブは俺にとっても大事な国だ。
一緒に守っていけばいいよ・・・だから・・・泣かないでくれ」

笑っていて欲しい、カガリには・・それだけで俺は俺の生きる意味が分かるんだ。

「でも、これだけは言わせてくれ」
「へ?」
真剣な表情からまた、むっとした表情になるアスランにカガリは変な声を上げてしまう。

アスランはカガリを真っ直ぐ見つめる。

「今回みたいなことは2度とするな!
たとえ俺のためでもキラのためでも自分を傷つけるようなことはするな!」

「・・・・・・・うん・・・」

「約束だ」

「ああ・・・」

「カガリ」
アスランは自分の唇を指差す。

「指切りの代わり」

「ばか・・・・」
カガリはそういいながらもアスランに口付けた。



あとがき
終了☆
SEED小説では初の連載ものでした。
すみません・・最後のお話短いです。。

他の連載から比べるとすごく短いですね。。
でも、本編もので連載が書けてちょっとほっっ
難しいんですよ・・・私の技量では・・・

やはりカガリはこうであって欲しいという記憶の取り戻し方です(笑)