「でやぁぁぁぁ!」
シンの叫び声が木霊する。
「メラ!」
カガリの声も響く。

「大丈夫か?」
カチャッと剣を持ち直すとアスランは振り返る。

「「全然OK!」」
シンとカガリはぜぇぜぇ言いながら声を合わせる。

「さ、最近魔物が多く・・ないか?」
といいながら、周りに魔物がいなくなったのを確認するとシンはその場にへたり込む。
「ふー」
カガリも大きく深呼吸した。
「カガリ、無理するなよ?」
「してない!」
「・・・魔法を使うとMPを消費する。体に負担がかかるのは当たり前なんだ。
それに無理に使ってそのあと何かあったらそのほうが大変だろ?」
「それは・・・そうだけど・・・」

「なーユウナ」
「・・なんだい?」
「お前ってさ、魔物使いなんだろ?現れる魔物全部仲間にしたら早いんじゃないのか?」
シンは首を後ろに曲げ言う。

「魔物にだって相性ってものがあるんだよ。僕の言葉を聞かないアホもいるのさ」

うわ・・やっぱ役にたたねぇ・・・
シンは抜けた顔でユウナを見た。




デスティニークエスト〜姉妹再び〜





「ねぇお姉ちゃん」
「なによ」
ルナは怒った顔で近くにある草をちぎっては投げている。

「どうする?そろそろあいつらをやっつけに行く?」
あいつら・・・あいつ・・・
本気で戦ってなかった・・・
私の剣を折ったときの速さは今まで見たのとは全然違った。
早すぎて見えなかった・・・

悔しい!!
アイツは私のことを馬鹿にして手を抜いてたんだ!!!
ルナはブチブチっと思いっきり掴んだ草を抜く。

「メイリン、今度こそあいつら倒すわよ!」
「はーい♪」
ルナが気合を入れて立つとメイリンはおでこにピースをしウインクをした。




「なぁアスラン・・・後どのくらいでどの街に着くんだ?」
アスランは目を見開きシンを見たまま固まった。
「な・・なんだよ・・」
「お前さっき説明したばかりだろ!聞いてなかったのか!?」
「聞いたけど忘れた・・かな?」
シンは笑う。

「・・・・・・・・・・・もうすぐ砂漠の地域に入る。その前に村があるからそこで水や食料を調達しよう
それに抜けるまでどのくらいかかるかも調べておかないといけない・・と言ったんだ!俺は!」

アスランの声はキーンとシンの耳を貫いた。
「りょ・・了解・・」
キーンとしたままの頭でシンは返す。
「あ、湖がある!」
そんな2人をよそにカガリは木々の隙間に水を見つける。
「アスラン。休憩していいだろ?」
歩き始めて3時間。
村までもう少しある・・・
「ああ」
カガリはそれを聞くとうれしそうに走り出した。

チャプ・・・
こくんとその水を飲む。
「冷たくて気持ちいい」
カガリはぐるっと辺りを見回した。
この湖はかなり大きい。
向こう岸は途中に架けられた橋で見えなかった。

「ちょっと見て来ていいか?」
向こうを指差しながら座っているアスランに問うカガリ。
「・・・あんまり遠くへ行くなよ」
「分かってる!」



ひょこっ
「思ったより・・橋まで遠いな・・・」
カガリは橋を歩きたかったのだ。
だが思ったよりもこの湖は大きく、行くのはいいが帰るのが面倒に思える距離だった。
少し森を迂回して歩いている為、アスランたちの姿は見えない。
「・・・・・・・・」
戻ろう・・・
少し不安を感じたカガリは足を逆に向けた。

「おや帰るのかい?」
「ユウナどうしたんだ?」
「こんなところを1人で歩いていたら物騒だからついてきてあげたんだよ」
「ふーん・・・」
誰も頼んでないけどな・・・
カガリはユウナにそう言った後、通り過ぎるようにして歩き始めた。

が、目の前に何かが落ちてくる。
「え?」
カガリは落ちた物体を見た。
それは・・・・
「靴・・・?」

「拾ってくれない?」
上から聞こえてきた声・・これは!!
カガリは慌てて上を見上げる。

「こんにちは」
「メイリン!!」
カガリはすぐさま体に力を入れる。
「よっと」
メイリンは座っていた木の枝から飛び降りると靴を履いた。

「やだ怖い顔しないでよ。今日は戦いに来たんじゃないんだから」
「・・・・」
カガリは驚いたようにメイリンを見る。

「殺しに来たの」
ピシッとメイリンはムチを取り出した。
「新しいのにしたの。前のよりよく切れるのよ」
ふふっと笑うメイリンからカガリはじりっと離れる。

「何だ女の子じゃないか」
聞こえてきたのはユウナの声。

「何?あなた」
メイリンは汚いものを見るような瞳を向ける。


以前ユウナはホーク姉妹の名を言っていた。
だが・・・顔は知らないんだ。
ホーク姉妹という名前だけ。
2人とも魔王の手下なのにそれも知らないなんて・・・
魔王は・・仲間を何だと思ってるんだ?

「悪いけど僕らは君みたいな子供と遊んでる場合じゃないんだよ」
その言葉にメイリンはカッと顔を赤くする。

「うるさい!」
メイリンが大きくムチを振りかざすと、それに触れた草木がばらばらと落ちる。

「おやおや」
ユウナは軽く片手を挙げた。
すると、草むらから大きな化け物・・・いや、魔物が姿を現す。

「・・・・ああ・・魔物使いなんだ・・・」
その魔物をチラリと見たメイリンはユウナを見つめ直し、振り上げたムチをゆっくりと揺らす。

ガァァァァァァァァァ

魔物はメイリンを脅すかのような鳴き声をあげた。

「バカにしないでね・・・」
ぺろりと口元を舐め、メイリンは笑みを漏らしていた。



「何だ!?」
アスランとシンは森の中から聞こえた声に立ち上がる。

「・・・カガリ・・・」
シンの呟きにアスランは顔を強張らせた。
2人は鳴き声の聞こえた方向に向かう。
が・・・・・後ろに殺気を感じたアスランは足を止める。

「こんにちは」
聞き覚えのある声。
シンはすぐさま後ろに振り返る。
そこには・・・・赤毛の女の子・・ルナマリアがいた。

「この間はどうも」
顔は笑っていない。
それどころか怒りが湧き出ていた。
「またお前か・・・」
「アスラン・・・」
「お前は行け」
カガリが心配だ。

「行けるかしら?私だって前回は本気で戦ってなかったのよ」
すっと前に出したのは鋭い2本の剣。
「・・・・・・・」
アスランも鈴を握り剣に変えた。
シンはそれを見ると同じように剣を手にする。
風と炎が巻き起こるが、ルナマリアは目を反らさなかった。


とん・・とん・・・
ルナマリアはその場で軽く跳ねる。
「あなたムカつくのよね」
切っ先をアスランに向ける。
「俺もだ」
剣を構えたアスランは言った。

「・・・・ふん・・・・」
相変わらずムカつくやつ。

「ギラ!」
ルナは呪文を唱えると高く舞い上がる。
以前は使わなかった魔法。
シンは向かってくる炎を避けようと近くにあった木に飛び乗る。

カンッ
アスランは炎を避けず向かって来たルナの剣を受け止めていた。
「やっぱり気に入らない」
ルナは剣を弾き後ろに飛ぶ。

アスランが軽く剣を振ると、2人の空間を風が包む。
その風に体をとられぐらつくルナにアスランは向かっていき、剣を振り上げる。
「メラ!」
触れるか触れないかの距離でルナは呪文を唱えた。

「っっっ」
アスランの体を炎が包む。
それを振り払うかのように剣を十字に切る。

「アスラン!」
その声と同時にシンはアスランの後ろからルナに飛び掛る。
「!?」
アスランが死角になってルナの反応が遅れたところを狙い、シンは剣をルナの真上に振りかざす。

「わっ」
目に入ったのは光。
シンは思わず自分の前を剣でガードする。

カンカンッッ

短剣が地面に突き刺さる。

「言ったでしょ?前は本気で戦ってなかったって」


トントン・・とルナは楽しそうに地面を跳ねていた。

「お前はカガリのところに行け」
「でもっっ」
アスランは背にいるシンに言う。
こいつ・・・本当に前より強い・・・
アスラン1人にするなんて・・・
「カガリが心配なんだ」
「・・・アスラン・・・」
それは・・オレも・・
「分かった!」
シンはそう言うと反対に走り出す。

「あ!この」
ルナはシンの姿を見て呪文を唱えようとするが、
アスランはルナの後ろに回り、足に蹴りを入れる。
「っ」
ぐら付いたルナは倒れそうになるが、剣を地面に刺し宙を舞いそれを逃れる。

「・・・・何あなた・・?あの子達の前では本気を出さないの?」
先ほどとは全く違う動き。
ルナはイライラした様子で言う。
「関係ないだろ」

「そうね!」
そう言うとルナはアスランに向かっていった。




「さて始めましょうか」
メイリンはピシッとムチをしならせる。
「ユウナ・・お前まだ魔物いたのか?」
私達が全部倒したと思っていたけど・・・
「逃げた数匹だよ・・まったく怖がりなんだから・・」
お前が言うなよ・・・
カガリは呆れた顔を引き締め、メイリンに向き直る。

「ああ、それにしても残念!」
「?」
「あなたが相手なんて・・すぐ倒せちゃう」
ピキッ
カガリの頭にヒビが入る音がする。
「前だって隠れてるだけだったものね。やだなぁ・・無抵抗の奴を倒すなんて〜」
メイリンは小ばかにしたように笑う。

「じゃ・・・」
カガリは握った拳を振るわせた。
「じゃあ本当に残念か試してみろよ!ユウナ!手を出すな!」
「やれやれ・・もう少し可愛い言葉使いはできないのかね?」
そう言いながらユウナは後ろに下がる。

「ふん」
メイリンはカガリを睨みつける。

「メラ!」
カガリの両手から炎の渦が巻き起こる。
「あら・・・使えるようになったんだ」
巻き起こる炎をメイリンはムチで風を起こし跳ねる。

「っギラ!」
カガリは連続して魔法を唱える。

ヒュウッッ

しかしメイリンはそれを簡単に跳ね除けた。

「あなた武器ぐらい持ったら?」
パシッとカガリの手にムチが降ってきた。
「っっ」
カガリは苦痛の表情で半歩下がる。

「手を貸そうか?」
「いらない!」
それでもカガリはユウナの申し出を断る。

なんだ・・・もっと強い呪文・・・
確か・・・
カガリは本で見た呪文を思い出す。
・・・・・・!
「イオ!」

「きゃっ」
メイリンのまわりを激しい爆発が包む。

やった・・・!

「え・・?」
背中に激痛が走る。
な・・に・・?

ドサッと体が地に落ちるのが分かる。
「ふん」
見えるのは・・メイリンの足・・?
「1つ教えてあげる。呪文は効果を発揮することも多いけど、それで倒せる敵は雑魚。
私達を呪文だけで倒そうなんて無理よ」

体を起こそうとしたカガリの目の前をムチがすれすれで振ってくる。
ビクッとカガリの体は震えた。

「やっぱり弱いじゃない」

「カガリは頼りになる仲間だ!!!」

森の中に響く声。
これは・・・カガリは表情を明るくする。

「シン!」
ザザザザザザザザッッ
その音と共に草むらからシンが飛び出してきた。
振り上げた剣はメイリンを狙い振り下ろされる。
「ちょっ」
メイリンは慌ててそれを避ける。
ガン!
地面に刺さった剣は硬い音を鳴らした。
しかし間を置くことなくその剣はメイリンに向かっていく。

「お姉ちゃんは何やってるのよ!」
メイリンは怒鳴るようにいいながらムチをしならせる。

シンは向かってきたムチを顔すれすれで避け、弾くようにメイリンに剣を振り切る。
ツー・・・
メイリンの頬に赤い筋が流れた。
「やだっっ・・・」
その感触にメイリンは慌てて頬を押さえる。

「カガリ、大丈夫か?」
シンはメイリンから目を逸らさず、後ろで倒れているカガリに声をかける。
「あ・・・ごめん・・・大丈夫だ・・・」
カガリは慌てて体を起こす。

「ユウナ・・・お前カガリが危ない目に合ってるのにどうして助けないんだ」
鋭い言葉。
「カガリが手を出すなっていったんだよ」
ユウナは木にもたれかかったまま答える。
「・・・・・・・・カガリがお前を心配してたから一緒に行くことを許したんだ。
だけど、オレはお前を信じない。今回のことでよく分かったよ」
たとえ手を出すなといわれてもあの状況で助けないのはおかしい。
ユウナにとってカガリはなんでもないんだ。
怪我をしてもなんとも思わない。
自分に都合が悪いときだけいい顔をする。

「お前は仲間じゃない」
シンはきつく剣を握り締めた。

「うるさいなぁ・・・女の子の顔に傷つけといてなに違う話してるのよ」
メイリンは手についた血をぺろりと舐めるとシンを睨みつけた。


「は!」
メイリンはムチを交差するように投げつける。
シンはとんっとそれを避けるように体を屈めるがムチはシンの動きに合わせてしなやかに動く。

「メラ!」
その時炎がメイリンに向かう。
メイリンは片手のムチでその炎を振り払った。

「・・・・っ」
メイリンはカガリを睨みつけると、ムチを地面へと叩きつけた。
「え?」
ムチが何もないところに打たれたことに驚くカガリだが、その瞬間、目の前を影が覆う。

「わっっ」
土だ!
メイリンはムチを地面に打ち付け、目くらましに土をカガリに跳ね飛ばしたのだ。
カガリは目を瞑りそれを避ける。
それを見て大きくムチを振りかざすメイリンをシンは剣の背で止める。
「ぐっ」
腹部に感じる痛みにメイリンは顔を歪めるが、右足で踏ん張り左足でシンに蹴りを入れる。

シンはそれをもろにくらい、跳ね飛んだ。

「メラ!」
メイリンがシンに気を取られている隙に、カガリは呪文を唱える。
しかし、目には土が入り上手く開かない。
くそっ開かないっ・・・
カガリは悔しそうに意識を敵に集中する。
「バーカ」
「!?」
聞こえたのはすぐ側・・

メイリンは・・目の前に!?
カガリが呪文を唱えようと手を前に出すが

間に合わない!?

ガアアァァァァァァァッッ

「いたっ」
聞こえたのは魔物の声と・・メイリンの声・・・

グルルルルルル・・・
なんだ?魔物・・?

「やれやれ・・」
久しぶりに聞こえた声。
体勢を立て直したシンはユウナを見る。
「この状況になったら僕だって助けるよ。でも、さっきのカガリにはまだチャンスがあった」
「・・・」
シンはユウナを睨みつける。
「それを邪魔するのは失礼だろ?」
・・・・それでも・・あのときのカガリは危なかったんだ。
シンはギッと瞳を揺らがす。

「さてお嬢さん、3対1・・勝てるかな?」
メイリンは3人を見回す。
戦いに支障がありそうなのは1人だけ。
少し・・・やばいかも・・・

ほんとにお姉ちゃんは何やってるのよ・・・
「うるさいわね・・・私はあなたたちを殺しに来たのよ」
メイリンはムチを握り締める。
その腕からは魔物に噛まれた血が流れ落ちていた。
ぽつ・・・
地面に赤い斑点ができる。

「・・・・なあお前・・・」
シンは滴る鮮血を見つめるとメイリンを見る。
「何のために戦ってるんだ・・?」

その言葉にメイリンの表情は・・幼く歳相応な顔になる。
「なんでって・・・・魔王」
「それは聞いた」

「だって・・・オレたちが憎いわけじゃないんだろ・・?」
憎い?
「オレは別にお前のこと恨んだり・・・殺したいと思ってない」

「・・・シン・・・」
カガリは驚いたようにシンを見つめる。
メイリンも同じだった。
何を言い出したのか分からないといった表情。




カン!

ザッ
その音と共にアスランの足は地に着く。

「やぁ!」
真っ直ぐ向かってくるルナをアスランはよけず、寸前まで来ると上へと飛んだ。
ルナも後を追うように上へとジャンプするが、
いるはずのアスランの姿がない。
「え・・・?」
目を見開き目の端に見える藍色に気付く。
「しまっっ」
ルナがそれに気付いたときにはアスランは下からルナのほうへ剣を向け、ジャンプしていた。

宙に血がただよう・・・
ルナの瞳にはそれが鮮明に映っていた。
その向こうにいるアスランの姿も・・・


ドサ!
「うっ」

地に落ちたルナは苦痛の表情を露にする。

チャ・・・
開いた瞳には剣が映る・・・

腕からは血を流し、落ちた衝撃で体が軋む・・・

そんなルナを見つめたアスランが口を開いた。


「・・・・・・・・お前は何のために戦ってるんだ?」


「・・・・・・・・・?」
止めを刺されると思っていたルナの瞳はきつく閉ざされたがそれが瞬時に開いた。

「何の為?そんなの決まってるじゃない!魔王様のため、自分の為!」

「魔王は何をしようとしてるんだ?」

「ふん。アンタなんかに言うもんですか!」

剣の切っ先はルナの首元に突きつけられる。
ルナの頬に一筋の汗が流れた。

「知らないわよ。知ってるのは魔王様は私達に居場所を与えてくれた。
そして全ての人にそれを与える・・それだけよ」

居場所を・・・?
アスランは顔をしかめた。
ラクスとそれとなんの関係があるのだろう・・・

「魔王様のところにいるのはみん同じ!親を亡くし、行き場をなくし、人に虐げられた奴ばかり」
・・・・・・・ユウナは違うのか?
彼はそんな感じではなかったが・・・確かに好感の持てる相手ではないが・・

「だがなぜ戦う?魔王が人を救いたいというならば救えばいい。だが、助けた奴に人を傷つけさせる
意味がどこにある?」

「・・・・・・・・・・・・・」
ルナは黙っていた。

ラクスを攫うということはこの世界から平穏を無くすということだ。
それではせっかく助けた人間がまた不幸になるかもしれない・・・
魔王は一体何がしたいんだ?

「メラ!」
その声にアスランが我にかえる間もなくルナはその場から姿を消す。
「おい!?」
アスランの声はむなしくその場に響いた。




「メイリンいくわよ!」
上から聞こえた声にメイリンの表情は元に戻る。
「おっお姉ちゃん!?」
差し出された腕からは血が流れている。
「早く!」
「あ・・うん・・」
メイリンは腕を差し出す。
『何のために戦ってるんだ?』
メイリンはその言葉を思い出しながらルナの腕を取った。



「大丈夫か?」
木の陰から出てきたのはアスラン。
じっと2人の姿を見送っていた。

「ああ・・・あ、でも」
シンは慌ててカガリを見る。
「っ」
アスランは目を開いていないカガリに気付くと慌てて駆け寄る。

「大丈夫だ!ちょっと目がっっ」
カガリは見えない状態で両手をぶんぶんと振る。

「いいから・・・・」
アスランはそっとカガリの顔に手を当てる。
何かを取り出すとカガリの瞳にそれをかける。
キラキラとカガリの瞳を流れる水滴・・・。

「ほら・・大丈夫だろ?」
その言葉にカガリはゆっくり瞳を開いた。

「・・・ほんとだ・・・」
「万能薬」
アスランはにっこりと笑う。

「ユウナ」
シンはカガリを安心したように見るとユウナに向く。
「なんだい?」
「それでもオレはあのときカガリを助けるべきだったと思う。」
「シンッあれは手を出すなって言ったのはわた・・」
「カガリが逆の立場だってそうしただろ?」

したと思う。
シンが危ないとき自然に呪文が口を出ていた。

「仕方ないだろ?仲間意識ってものがないんだから」
ユウナはしつこいとばかりにため息をついた。


「ユウナ・・変わる気はあるか?」
「は?」
アスランの言葉にユウナは口を開ける。

「俺たちはお互い信頼している。守る守らないじゃない。
守りたいんだ。お前はそんな気持ちを持ちたいとは思わないか?」

「思わないね!そんなもの必要ないし邪魔だ」

「本当は必要とされたいんだろう?」
「な!?」
だから魔王の仲間になり、魔王の声を聞いた。
ルナマリアの言っていることが真実なら・・・ 裏切ったとはいえ、それは・・・
彼が望んだことだ。

「今の俺たちは仲間が欲しい・・・信頼できる仲間を・・・」
ミリィもそうだ。
短時間とはいえ、彼女は信頼できる仲間だ。

アスランはまっすぐユウナを見つめる。

「だっ・・・・・・〜〜〜し・・・仕方ないな・・そこまでいうなら仲間になってやるよ!」
そう言ったユウナの表情は今までと違い、照れたような・・・恥ずかしいようなものだった。





あとがき
ユウナいい奴!?
な展開でございます(笑)
戦闘が結構長引いてしまいましたねぇ・・・・
でも楽しんでいただけたらうれしいです♪