「ラクス 明日から一緒に学校行こうよ!!」
キラは生徒会室に向かう途中、ラクスに突然言い出した。
キラにとっては突然ではないのだが、ラクスにとっては驚くことである。
なぜならキラの家は学校から10分ほど、ラクスの家は学校からキラの家とは正反対の方向へ20分ほど行った所だからだ。
わざわざ早い時間に出て、学校を通り過ぎ自分の家まで来るのはどう考えても効率的じゃない。
「カガリさんはどうしますの?」
「大丈夫だよ。アスランがいるから」
キラはうれしそうに言った。
「でも、時間がかかるでしょう?」
「平気 ラクスと登校したいもん」
キラの負担を考えそれとなく断ってみたのだが、キラはやる気マンマンである。
ラクスも一緒に登校するというのは夢だった。
中学のときは方向が一緒だったので一緒に登校していたのだがアスランを含めいつも3人だった。
高校に入ると方向が合わずラクスはいつも1人で通っていた。
帰りはいつもキラが送ってくれたのだが・・・生徒会の活動をした後だと、生徒はほとんどいなく、誰に見られるわけでもない。


2人でいるところを見せ付けたい。
少なからずラクスにもそんな思いがあった。
キラが私に歌を勧めてくれたおかげで今の私は歌姫と呼ばれる存在になった。
いろんな人が私に興味を持って近づいてくる。
でも、本当の私を理解してくれるのはキラだけ。
そんなキラは誰にでも優しく、仲良くなってしまう。
そんな姿を見ると、誰かに取られてしまうのではないかと不安になる。
キラを信じていても、やはり嫉妬と言うものはどうしようもないものだった。
そう、あの時も・・・・




輝く星〜伝わる思い〜





「イトコ?ですか?」
「うん。女の子、うちの学園に編入してくるんだ」
キラはうれしそうに言った。
「あと、うちに住むからラクスもよく会うようになると思うよ」
クラスが違うと話せないことも多い、だが、キラの家によく遊びに来るので会うことも多々あるだろう・・
ちょっとラクスの顔が曇った。
「どうしたの?」
キラは心配そうにラクスの顔を覗いた。
「いえ・・・」
ラクスは心配をかけまいと笑顔でキラにそう答える。
どうしてこんなに不安になるのだろう・・・
キラとはもう4年も付き合っているし、お互いの思いは確認しあっている。
でも、変わらない想いはない。
実際、私はキラのことを毎日好きになり続けている。
前の日より、次の日・・・次の日よりその次の日・・・
好きな想いは募っていくばかり・・。
「ラクスのこと彼女って紹介しててもいい?」
「え?」
「カガリって言うんだけどね。その子
僕のすごく大事な子なんだ、だからラクスのこと紹介したい」
ズキン・・・
ラクスの胸は痛んだ。
彼女と紹介してくれるのはとてもうれしい。
でも、それよりも「すごく大事な子」という言葉がラクスの頭に響いていた。
「ラクスも僕にとってとっても大事な人だからカガリに紹介しておきたいんだ」
だが、キラの続けていった言葉にラクスは目を大きく開く。
「キラ・・・・」
どうして不安になるのだろう・・・キラはこんなにも自分のことを想ってくれている。
自分がキラを想っているようにキラも自分を想っているのだ。
「いえ・・キラ・・・私、カガリさんとはキラの彼女としてでなくラクスとしてお友達になりたいですわ」
そういってラクスは微笑んだ。
キラは安心したかのようにラクスに微笑む。


「私はカガリでいいぞ ミリィ、ラクスよろしくな」
初めて会った彼女は私が想像していた子とは少し違った。
なんともハツラツとしていて、明るくて、元気な方。
自分とは正反対とも思えるその方を私はすぐに好きになった。
どうしてかは分からない、でも、何か惹かれるものがあった。

キラとカガリは私が思ってたよりも仲がいい・・・
それにやきもちを焼くと言うことではなく、なんていうか・・・
イトコとは取れない何かを感じた。

「ラクス 生徒会の仕事って難しいか?」
「どうなさいましたの?」
カガリは休み時間、ラクスに聞いてきた。
「いや・・・キラが生徒会に入らないかって言うんだが・・その・・・」
カガリは転校してきたばかりなのでそれなりに不安なのだろう。
その表情は少し困っていた。
「いいえ、大変ではありますがやりがいがありますので楽しいですわ」
そんなカガリを励ますかのようにラクスは言った。
「そうか!!ありがとう」
それを聞くとカガリはひまわりの様に明るくなる。
まるでそれは・・・キラがラクスに見せる笑顔そのものに見えた・・・
キラとカガリさん・・・って・・・



「ラクスどうしたの?」
キラの呼びかけにラクスは我にかえる。
「あら・・いえ・・ちょっとカガリさんと出会ったときのことを思い出しましたの」
ラクスは微笑みながら口元に手をやった。
「あの時・・・」
ラクスが言いかけると、反対側から生徒会室に向かってくるアスランとカガリが見えた。
「あ、アスランとカガリだ」
ラクスはその姿をじっと見て
「私たちもあんなふうに見えるのでしょうか?」
と、キラに言った。
「え?」
キラはラクスの言葉の意味を聞き返す。
「ほら、お二方を見ていると、お互いがお互いを大切に思い合っているのが分かるでしょう?」
ラクスのその言葉を聞くと、キラは目線をアスランとカガリに戻す。
楽しそうに歩いてくる2人。
アスランはずっと話し続けているカガリを優しく見ている。
どう見ても愛しい人を見る眼だ。
カガリは輝いた眼でアスランを見ながら話し続ける。
「どう見えるかは分からないけど、僕はアスランと同じ気持ちで君を見てるよ」
「それ以上かもね」と付け足して照れ笑いをする。
「キラ」
「ん?」
「明日から一緒に登校しましょう。うれしいですわ、ありがとう」
そう言ってラクスはピンクの髪を揺らしながら微笑んだ。
頬を赤く染めながら。
言ってよかった・・・
キラはそんなラクスの表情に心からそう思った。



翌日、キラはいつもより1時間早く起きた。
「行って来ます」
そういうと走るようにして家を出て行く。
「・・キラってすごいな・・・」
カガリはそんなキラの姿をパンを食べながら見ていた。

ラクスは家から出て待っていた。
「おはようございます キラ」
朝からラクスの眩しい微笑みにキラは走りながら酔いしれていた。
やぱり可愛いなあ・・
なんて思いながら。
「おはよう ラクス。中で待っててくれたらよかったのに」
「いえ・・・うれしくて早く眼が覚めてしまったもので・・」
うわーーー!!
キラは更にラクスに酔った。
「行こっか」
「はい」
2人はそういって顔を見合わせると、手を繋ぎ学校へと向かっていった。
みんなに見せ付けるかのように・・・・




あとがき
短編に近いですね。
キララクです〜★番外編な感じで描きました。
強いつながりだけでは話は進みませんからね・・・
不安あってこその物語です!

〜拍手のお返事〜
青空学園はお菓子持込禁止です!!!
いえ・・正直言うと、私は高校時代、普通に持っていってたんで、
なんか・・普通に書いてました(笑)
というか、OKなとこはないでしょうね。
高校生ですからお菓子ぐらい持って行きますよ〜いかないのかな・・?
先生も見て見ぬふりってとこですかね。
カガリのためにアスランが家にお菓子溜め込んでたら萌えます(笑)