「はぁ・・・」
教室で悩む男が1人、シン・アスカである。
気分が悪い・・・
昨日のあれがあってから・・・・・
あれとはカガリの首筋についていたマーク。
自分のものだと主張するようなあの跡・・・・

「シン悩みか?」
「ヴィーノ・・・」
ヴィーノはこの学園にきて友達になったクラスメイトだ。
「ははーん、どうせ恋の悩みだろー」
ぐっっ
シンはドンピシャなヴィーノの言葉に息を詰まらせる。
「どうせ生徒会のカガリ先輩のことだろ」
「な・・・・・何で知ってるんだよ〜〜〜!?!?」
シンの叫び声は教室中に響いた。



輝く星〜シンの決意〜




「なんでって・・・見てれば分かるじゃん・・」
何を今更と、ヴィーノは笑う。
「相談にのるぜ〜なになに?」
ヴィーノは面白いネタだと言わんばかりの表情でいいよる。

「・・・・」
シンはぶすっとしているものの、
相談・・というか、他の人の意見を聞くのも悪くはないよな・・・・
と、質問をしてみた。
「なぁ・・・もし彼氏のいる人を好きになったらどうする?」
「彼氏って生徒会長のアスラン・ザラのこと?」

「・・・・・・・・・そうだよ・・・」
名前を聞くだけでも気分が悪くなる。
「あの人すごいよな〜成績トップにあの容姿、モテるよな、あれは」
「でしょう!かっこいいのよ」
「あれ?ミーアちゃん・・」
ヴィーノの横からミーアがひょっこり顔を出した。
「またお前かよ・・」
シンはミーアのわけの分からない発言にうんざりしていた。
「で、好きな人に相手がいたらって話?」
「そうそう、シンが悩んでるんだよ」
「悩んでない!!」
シンは真っ赤になって否定する。 実際には悩んでいるのだが・・・
「強がっちゃって・・・そうだな・・俺だったら努力はするな」
ヴィーノはそんなシンにいいのいいの、恥ずかしがらなくて・・と、手を上下させる。

「努力?」
「付き合ってるっていっても高校生だろ〜結婚するとは限らないじゃん」
「確かにね。する人もいるけど、別れちゃう人のほうが多いかも」
ミーアは腕を組み考える。
「だから、アタックして損はない!」
「損はなかったけど・・振られちゃった・・」
ポソリ・・と誰にも聞こえない声でミーアは呟く。
「え?」
微かに聞こえた声にヴィーノが反応する。
「ううん。こっちの話」
ミーアは慌てて顔を横に振る。

「やっぱり行動するしかないよなぁ・・」
シン「はぁ・・」とため息をつきながら机にうつ伏せになる。

「やっぱさ・・・男だと思われるには言うしかないのかな・・」

告白・・・
俺をもっと知ってから返事をください・・?とか、
アスランより幸せにできるから・・・とか・・?
なんか・・違うな・・・

「でもさ・・・スタートラインがアイツとは違うんだよ・・・
勝ち負けの問題じゃないし、・・・頑張る気はあるんだけど・・・」
「なんだ?陸上でもするのか?」
「んなことしないよ!・・・え?」
シンはその声に勢い欲うつ伏せていた顔を上げる。

「よ!」
「カガリ!?」

そこにいたのは輝くような笑顔を持ったカガリだった。
ヴィーノとミーアはにやにやとこっちを見ている。
「カガリ先輩こんにちわ あの後ゆっくりみれました?」
「ああ。おかげさまで。それにしてもミーアのお兄さんはすごいよな」
「昔から変わってるんですよ。機械いじりばっかしてましたからね」
「でも、才能があるっていいことだよな」
「ね、私なんて何の才能もなくて」
「そうか?ミーアは明るくていい子だからいてくれるだけで場が和むだろ。それも才能だぞ!」

「・・・・・・・・・・・」
ミーアは驚いたように目を開く。
この人の前であんなことをしたのに・・・
アスランに腕を組もうとしたり、デートって・・・・嘘・・言ったり・・・。
分かっていた・・・。
あれはデートでもなんでもないのだと、自分が無理やりこじつけていたのだと。
もし自分が逆の立場なら・・どんなに嫌な思いをしただろう・・・。
そして、そんなことをした相手を・・・どんな風に見るだろう・・・
アスランには謝ったが、この人とはその話をしていない。
なのに・・・

「ん?どうした?ミーア」
カガリは首をかしげ聞いてきた。
その表情は嫌味なものも不信感もなにもない・・・
「カガリ先輩!!」
「へ?」
ミーアの勢いのいい声にカガリは声が上ずる。
「私、カガリ先輩のこと気に入っちゃった!お友達になってくださいますか?」
「・・?何・・?ミーアとはもう友達だろ?」
カガリは???をいっぱい浮かべている。

カガリさんのこの性格でアスランは落とされたのね〜。
なんか納得しちゃったぁ!
ミーアは1人うきうきとしている。

「あの・・・」
そのとき事態が、会話が飲み込めないシンが声を発した。
「ああ!そうだ・・違う違う・・」
こんなことを話しに来たのではないと、カガリは右手に持っていた紙をシンの前に差し出した。
「何?」
「今度の講演会の生徒会予算案を出せって、さっきフラガ先生に渡されたんだ」
「講演会・・」
この学園では年に1回どこかのお偉いさんが来て講演をする。
呼ぶ人を決めるのは生徒会で予算などもすべて任されている。
「アスランがほとんどやってくれてるんだけど、これはシンのサインもいるからさ」
「あ・・そっか・・オレ会計だ」

生徒会に入ったものの、ほとんどのことは・・アスランがやっている気がする。
カガリは何かするたびに「違う・・・」と言われ、アスランが親切に直していく。
オレは・・「違う」といわれることなく、紙をとりあげられる。
だが、間違っているのだろう・・アスランはオレの書いたところを直している。
アスランの態度は気に入らないものの、間違ってしまう自分に少し悲しくなるのだ。

「ココに名前書いたらいいの?」
シンは紙の空欄を指差しカガリを見る。
「ああ」
「誰が来るんですか?講演会」
ミーアもその紙を覗き込んだ。
「まだ決まってないんだ。生徒会役員は強制出席なんだよなー私、話聞いてると眠くなっちゃって・・・」
「オレも。面白い話ならいいんだけどなー」
「去年は誰が来たの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
シンの質問にカガリは顔を引きつらせながらにっこり笑った。

寝てたな・・・・

シンとミーアはカガリの笑顔に何が言いたいのか分かったため、それ以上は聞かなかった。

「そんなことより、もうすぐ中間テストだぞ、シン大丈夫か?」
カガリはビシッとシンを指差しながら言った。
「大丈夫!レイに教えてもらうから!」
「レイに?」
「レイは教え方も上手いし、なに聞いても分かるからほんと・・オレ・・助かってるんだ」
カガリはへーとばかりにレイの方を見る。
それに気づいたレイはペコリと挨拶をした。

レイってそんなに頭いいんだ・・・・
カガリはレイが目を逸らした後もじっとレイを見ている。
「あ!まさかカガリもレイに教えてもらおうとか思ってる!?」
「えっっ」
シンの突っ込みにカガリは焦った声を出す。
「ま、まさかぁ・・・」
なんていいながら少し思ったのも事実だ。


「学年の違う奴に教えてもらってどうするんだ」
ぽん、とカガリの頭の上に何かが当たる。
「アスラン」
アスランは持っていた冊子をカガリの頭にのせたのだ。
「俺が教えればすむことだろ」
「あ・・・いや・・・」
シンは仲良く並ぶ2人の姿にむっとしながら
「オレだってやれば出来るんですよ!」
思いっきり対抗心剥きだしで言うシンにアスランは
「1年が3年の問題をしても仕方ないだろう」
と、軽くかわした。

「それに・・・・はっきり言っておく」
アスランがカガリとシンを真面目な顔で見た。
その表情に2人はなんだとアスランの顔をじっと見た。

「中間が終わると、講演会の準備や、体育祭、文化祭、行事がとめどなくあるから忙しいぞ」
「・・・・・・・・・・・」
「そんなに忙しいのか・・・?」
カガリはアスランに顔を近づけ言った。
「忙しい」

それじゃあ・・・カガリとゆっくりすることもできないじゃないか・・
シンはうなだれるようにしゃがみこんだ。
アスランの言葉に先ほどまで悩んでいたことが全部押し寄せてきた。
告白かぁ・・・

シンがそう心の中でつぶやいたとき、
「カガリ、夏休みはどこか行こうな。俺の家でもいいけど」
と、アスランがカガリに言った。
「アンタって人はーーーーー!!!」
思わずシンはアスランに叫んでいた。

どう考えてもオレへの当て付けだ・・・



「俺の用事が終わるまで待ってろって言っただろ」
教室に戻りながらアスランはカガリに言った。

「アスラン・・・いくら私でも、シンにサインもらってくるぐらい1人でできるぞ」
カガリの真剣な表情にアスランはため息をついた。
「まあ・・・いいけど・・・」
何もなかったし・・・とアスランは手元の冊子に写した。
「中間が終わるとそんなに忙しいのか?」
カガリは冊子を覗き込んだ。
「ああ、去年は体育祭がなかっただろ」
「うん、確か競技場の整備の為だったよな?」
「ああ、それで去年は少し楽だったんだが・・・そういえば今年からはサクラ学園と合同ですることになったんだ」
「サクラ学園?」

「青空学園の姉妹校」
アスランは「それぐらいは知っておかないとな」っと軽くカガリのおでこを突っついた。
「勝負かぁ・・・燃えるなぁ・・・」
カガリはぎゅっと拳を握り気合の入った声を出す。
「その前に中間テストで燃えないとな」
「うっっ」
アスランの痛い言葉にカガリは押し黙った。



「あれじゃあ勝ち目ないかもなぁ〜」
ヴィーノは2人が去った後、シンの机に腰掛けた。
「おまえっ努力するっていったじゃんか!!」
シンはヴィーノの言葉に怒鳴り返した。
「私もシンを応援する気だったけど、カガリ先輩が幸せなのが一番だしぃ〜」
ミーアはさらりと言った。
おいおい・・・言ってることが180度変わってるぞ・・・

オレ・・・もうだれも信じられない・・・
シンは机に伏して泣きたい気持ちだった。

中間テスト・・・講演会・・・体育祭・・文化祭・・・

文化祭・・・カガリに初めて出会ったのが文化祭だったな・・
いきなりオレの事ステージに引っ張り上げて、なんなんだって思ったけど、なんか憎めなくて・・・
最後に見た笑顔がいつまでもオレの中に・・
ってなにポエムってんだよ・・・オレ・・・

そうだな・・・俺の気持ちを伝えるならその日がいいな・・・カガリと出会ったあの日・・・

シンは机に伏せたまましっかりと意志を固めた。

告白しよう。俺の気持ちをしっかり伝えよう。
告白までは3ヶ月、その中で精一杯頑張ろう!!

「シンー?」
ヴィーノとミーアはそんなシンの決意など露知らず頭をつついていた。






あとがき
たいしたストーリーはないですが、シンが告白をすることを決意しましたー!!
いやはやそれまでいろいろありそうですね・・・
のんびり進んでるなぁ・・・そろそろ終わりも考えないと・・・(笑)
ああ、どう考えてもフラれるシンちゃん・・(アスカガですから)
傷を軽くする駒も準備OK!(議長な感じ)おいおい・・・

えっと、先に言っておきますが、次からちょっとシリアスに入っちゃいます。
すぐ抜けだせると思いますけど(笑)
なので苦手な方は読まないように!
いろいろ積み重ねて愛を深めます(?)うちのアスカガは・・・