「僕?」
「うん」
カガリはキラの部屋でゲームをしていたのだが、大事な話があるとキラに向き合い話し始めた。
「きっと、アスランが教えてくれるとは思うんだ。でも、迷惑かけたくないし・・・」
「アスランが迷惑がるわけないよ」
キラはカガリの言葉に笑いながら返す。
「分かってる!だからキラにお願いしてるんだろ!」
キラはカガリの真剣な表情に笑いを止めた。
「キラだったら家で教えてもらえるし、その・・・双子の仲だろ」
双子の仲って・・・なんだろう・・・
キラはそう思いながらもカガリに勉強を教えることは苦ではないため。
「いいよ」
と答えた。
「良かったあ!!」
カガリは安堵したのかこわばっていた体を崩した。
「そんなにアスランに教わるのは嫌なの?」
キラはそんなカガリを見て聞いた。
「いや〜〜実は・・・けっこうわかんないとこ多くて・・・アスランがそれを知ったら心配するだろ」
「するでしょう」
「だから、それが嫌なんだ。テスト終わってからも忙しいみたいだし・・・迷惑かけたくない・・」
アスランだったら迷惑をかけられたほうがかえって喜びそうだけど・・・
キラはそう思った。
男関係だったら迷惑というか・・・イライラするみたいだけど(当然)
困ってるカガリを助けるのは逆にうれしいんじゃないかな?
テスト勉強なんてカガリと一緒にいれる楽しい時間だ。
忙しくても時間を作って見てくれるだろうね・・・
でも、カガリはそんなこと気づくわけもなく、純粋に迷惑をかけたくないと思ってるらしい。

ならここはカガリのために僕が力になろう!!
「カガリ!僕の授業は厳しいよ!」
「がんばる!」
カガリとキラはぐっと手を握った。
でもどうしても分からないとこだけだからな!と、カガリは付け加えた。



輝く星〜欠落の意識〜




「何で?」
アスランとカガリは学校へと向かっていた。
「だから、アスランに頼らないで勉強することも必要だと思うんだ!」
カガリは少し言いにくそうに言った。
「でも、分からないところがあったら困るだろ?」
アスランはそんなカガリを心配そうに見る。
「キラに聞くから大丈夫」

アスランはカガリに中間テストの勉強を今日から始めようといったのだが、カガリはそれを断ってきた。
断られるとは思っていなかったためアスランも少し驚いている。

確かにキラは同じ家に住んでるし、勉強もそこそこできる。
自分よりも適任と言えなくはないが、いい気分はしない。
まるでカガリが自分よりキラを取ったかのような気分に陥る。

「キラはラクスに・・・」
勉強を教えるので忙しいんじゃないか・・・と言おうとしたが、ラクスは十分勉強ができる。
キラが教えなくても問題ないだろう・・・というか、キラが教えてもらってもいいぐらいだしな・・・
アスランは言葉が繋がらず黙り込んでしまった。

アスラン・・・怒ってるかなぁ・・・
カガリはちらりとアスランを見た。
でも、ここでアスランに迷惑をかけたくないからなんていったらアスランは迷惑じゃない・・っていうだろうしな・・・
前にこっそり勉強しているのをアスランに見つかったとき、アスランは迷惑じゃないと勉強を見てくれた。
教え方も上手くて・・・でも、いつもいつも頼っていてはいけない!

そう・・・これは私のプライドだ!
自分のことはある程度自分でできなければ好きな人の力になんてなれないんだ!
と、妙なやる気をだしているが、最初からキラに勉強を教えてもらおうという時点でそれは崩れているような気がする。
だが、何にでも対等を望むカガリは胸の中に誓いを立てていた。

アスランに頼らなくてもできる自分でいようと・・・・

しばらく沈黙していたアスランだったが、ふっと顔を上げると、
「でも、困ったときは俺に聞けよ」
と、何とか納得したのであろう、笑顔で言った。
「うん」
カガリもそれに笑顔で答えた。



「レイ・・マジですか・・・?」
シンは教室でなにやら分厚い用紙を持ったままガタガタと震えていた。
「山をはるのもいが、それでは何のためにここに来ているのか分からないだろう?」
レイはきりっとシンを見て言う。
「テストというものは今まで習ったことを・・」
「分かったっ分かったよっっ!」
シンはレイの言葉を聞き終えるまもなく言葉を発した。
「・・・・中学のときより厳しくなったなぁ・・・」
シンは呟く。
中学のときもレイに勉強を教えてもらっていたのだが、そのときはルナもいたため少し状況が違っていた。

『レイ、出そうなところを予想するのも立派な勉強よ!』
と、ルナが必ず言っていたのでレイはしぶしぶながら出そうなところだけをピックアップして教えてくれた。
しかし、オレがそのセリフを言ったところで説得力のカケラもない。
それを十分承知しているので、レイに説教される前にこの分厚いレイ特製テスト問題集をすることにした。




お昼休み、お弁当を食べ終わったカガリは用事があるといって、キラ、ラクス、アスランと別れた。
「カガリさん?」
カガリの少し何かを隠しているような表情に、ラクスは心配になり声をかけたが、
事情を知っているキラは大丈夫、とラクスに微笑みかけた。
アスランはそんな2人をじっと見ていた。



カガリが向かったのは生徒会室。
もちろん勉強をする為だ。
図書室という手もあるのだが、お昼休みはかなり人がいる。
とくに数学が苦手なカガリにとって、人がいると言うことだけでも、集中力に欠けてしまうかもしれない。
それでなくても訳のわからない数字が大量に並んでいるだけで、目が回りそうなのに・・・
生徒会室のドアを開けるとそこには先客がいた。

「・・・え・・?シン・・?」
そこに見えたのは漆黒の髪。
俯いて何かを必死に書いている。
シンは声に反応し、ゆっくりと顔を上げた。
「・・・カガリ!!」
シンの表情はみるみる柔らかくなり、席を立った。
「なんだ・・・勉強してるのか?」
カガリはシンが必死に書いていたプリントを覗き込む。
そこには数学の問題がぎっしりと書かれていた。

「うん。レイに問題作ってもらったんだけど、教室でやるとうるさくてさぁ・・・」
それに赤点なんてとったら恥ずかしくてカガリに会えないし・・・
ということで、自分たちだけが自由に入れる生徒会室を勉強の場に選んだのだ。

「偶然、私もここで勉強しようと思ってさ」
カガリはシンの前に教科書を置くと椅子に座った。
「・・・アスランも来るの?」
顔は笑っているものの、声は暗いトーンで聞いた。
「・・いや、私1人だ」

ラッキィ!!!
シンは軽くガッツポーズをした。
告白のために頑張ろうと決意したばかり、そんなときにカガリとの2人っきりの時間ができるなんて、
オレって運がいい・・って言うか運命!?
と、シンは天にも昇る気分だった。

「オレ数学苦手でさー、あのわけの分からない数字を見てると目が回っちゃうんだよな」
「私も!あれだけは記憶するとかと違うだろ?」
「そうそう」
シンはカガリを指差しながら笑う。
「公式を覚えれば簡単って言うけど、それがわかんないんだよな〜」
「あはは、同じ同じ!」
2人は勉強を忘れ話を弾ませる。
「そうだシン、実はここに隠してるものがあるんだよな〜」
カガリは何かを思い出したように席を立つと、戸棚の一番下の引き出しを開けた。
「何?」
シンは不思議そうにカガリを見ている。
「じゃーん、お菓子!」
カガリがそこから取り出したのは煎餅だった。
「海苔煎餅だ!オレそれ好きなんだ!」

「なんだったかなー?テレビかなんかで、噛みながら勉強すると頭に入るって見たことあるんだ」
「へぇ・・・」
「だから食べながらやろう」
「OK!」
シンは最高の気分だった。
誰にも邪魔されずこんなに気持ちいい気分でカガリと話すのは初めてかもしれない。
いつもアスランが来て邪魔をされ、睨んでる時間のほうが多かった。
バリン!
勢いよく煎餅をかじるカガリをシンはうれしそうに見ていた。

やっぱり可愛いよな・・・・
独り占めできたらどんなにいいだろう。
自分のことを愛しい目で見てくれたらどんなにいいだろう・・・
どんな努力だってする。
君がオレのことを見てくれるのなら・・・
そんな愛しい目もカガリには届かず、「ほら」と煎餅を差し出すのだった。

2人は煎餅を食べながら黙々と勉強を始めた。
シンは勉強より今カガリと話すことのほうが大事に思えたが、カガリにとっては今、勉強することの方が
大事だろうと、シンも黙々と数学の問題を解いていった。

そのとき予鈴が鳴る。
「あ、戻らないと」
2人はふーっとため息をつくと、ノートをまとめ始めた。
「カガリ、明日も来るの?」
シンは聞かずにはいれなかった。
「ああ、テストが終わるまでは来るつもりだ」
「オレも!・・あ・・・邪魔じゃなければだけど・・・」
「何言ってんだよ。お前が先に来てたんだし、邪魔なわけないだろ。ノリ良く勉強ができたよ!」
シンは頬を赤く染めながら微笑んだ。
幸せだ!!!
教室に戻るシンの足はステップを踏んでいた。



カガリが教室の戻ると、アスランがじっとカガリの事を見ていた。
「・・・何?」
カガリは少し気まずそうに返事をする。
「どこ行ってたの?」
アスランはなるべく笑顔を作り聞いた。
「・・・勉強してたんだ。でも、ほんとっっ分からないところがあったら聞くから!!」

テストまで1週間。カガリがやる気なのは分かった。
分からないところがあったら聞くと言ってくれてる。
放課後なら分かる。
なんで昼休みまで俺の前から消えて勉強する必要があるんだ?
忙しいわけじゃない。
キラとラクスと話してるぐらいならカガリの勉強を見てたほうがよっぽど楽しい。
アスランはむっとした表情で頬杖をついた。

「だから・・・1人で頑張りたいんだ・・・困ったときは聞くから・・・」
カガリはなんとかアスランに理解してもらおうと話すがアスランの表情は変わらない。

迷惑かけたくない何ていえない。
でも、アスランにこんな表情させたままにはしたくない。
アスランは誰より私を心配し、気遣ってくれてる・・・

「私はただ・・・・」
カガリの声と同時にドアの開く音がする。
「はーい、席につきなさーい」
バルドフェルド先生が入ってきた。
この学園では教師も生徒と同じで学年が繰り上げになる。
なので、教科ごとの先生は3年間全く同じだ。

カガリはいいかけた言葉を呑み、前へと体を戻した。

バルドフェルト先生はテストに出そうなところを最初からチェックしている。
「ここはこの公式を覚えておけば大丈夫だ」
バルドフェルトのその言葉に、以前、アスランに勉強を教えてもらったときのことを思い出す。

毎朝図書室で勉強をしていたあの時・・・
『ここが分からないのか?』
『この公式を使うってことは分かるんだ・・・でも、どこに何が入るのか分からなくて・・・』
『カガリは難しく考えすぎて分からなくなってるんだよ』
アスランは公式をノートに書くと、どこに何を当てはめたらいいのか書いた。
『こうすると単純なものだろ?』
『ほんとだ・・・・』
それはカガリが驚くほど単純なものだった。
難しく考えすぎる
確かにその通りだった。
『アスランって本当に頭いいんだな』
『妬まれることもあるけどね』
『ほっとけよ!アスランだっていろいろ努力してるんだろ?なら妬まれる理由なんてないんだから』
『・・・そうだな・・・』


楽しかったなぁ・・・
あの時はアスランと私が付き合うなんて思っても見なかった・・
『恋は気づく前から始まるのよ!!』
前の学校で同じクラスだったフレイがそんなことを言っていた。
あのときから・・・始まってたんだろうな・・・・
カガリは思わずクスリと笑った。
「そんなにテストに自信があるのかね?」
頭の上から聞こえたことにカガリは顔を起こす。
そこには先生が立っていた。
「あ・・・」
「ユラのテストの出来栄えが今から楽しみだ」
と、言われてしまった。


2日目3日目の昼休みもカガリは勉強をしにどこかへ行った。
「アスラン・・・その仏頂面やめてよね」
キラはアスランに言った。
「仕方ないだろ・・・イライラするんだから」
「もうちょっと大人になったら?カガリだって、1人で頑張ろうとしてるんだから」
「俺がいるんだから1人で頑張る必要なんてないだろ!」
「ほら、そこが違うんだよ」
キラはアスランを指差した。
「アスランは自分のことをすべて片付けて、カガリには頼れって、男らしいと言えなくもないけど、カガリからしたら
アスランと同じように考えてるかもしれないでしょ」
まあ、アスランに自分に頼れとは言わないだろうけど・・・思ってはいそうだよね・・
「そうですわね、カガリさんは頼ってばかりの女性ではありませんもの」
ラクスも言葉を挟んだ。

確かにカガリは人に寄生するような人間ではないが、勉強ぐらいいいじゃないか・・・

「別々の人間って難しいな・・・」
アスランは呟く。
「あらアスラン、今更そんなことを言ってはいけませんわ」
「今更?」
言葉を返したのはキラだった。
「別々の人間だからこそ触れ合えて、考えが交わる楽しみがあるのではありませんか」
「まあ・・確かに・・・」
アスランは何を想像したのか頬が少し赤くなる。
「あ!!アスラン何考えたの!?ちょっと・・・っっ」
キラはアスランに近づき怒鳴った。
「あらあら、キラもそろそろ妹離れしないといけませんわね」
ラクスはそんなキラを引っ張り寄せた。
「あんまりカガリさんのことばかり言ってると・・・私・・・嫉妬しますわよ」
ラクスの笑顔のなかに垣間見える眼光にキラは
「ハイ・・・」
と首を縦に振った。



「今日も数学にしよう!」
カガリは生徒会室に来るとノートを広げた。
「ねえ・・オレ思うんだけど・・・」
「なんだ?」
「カガリって実は頭いいんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・なんだその・・微妙なニュアンスは・・・」
「いや、悩む時間は長いけど、いきなりすらすら解きだすからさ・・・」
「まあ分かれば簡単な気はするけど・・・家でキラに聞いてるところもあるからなぁ・・・」
アスランには教えてもらわないの?
その言葉をここで出すには勇気がいる。
自分の中の幸せが崩れてしまいそうだからだ。

「数学以外は直前に暗記した方が早いからまあ、2日ぐらいあればいいし」
「だよね、オレも前日に暗記する派なんだ、でも数学はそうはいかないだろー」
「そうそう」
2人は笑いあった。
「明日でここ来るの最後だなー」
「え!?」
シンは大きな声を出す。
「明日がすんだらテストまで2日!あとは教室で暗記ものをやるから」
「ここですればいいじゃんか!」
シンは慌ててカガリに言った。
「でも・・・アスランの機嫌も悪いし、暗記だったら1人でもできるだろ?誰に聞かなくてもいいし」
「機嫌が悪いの?」
「内緒なんだ・・・ここで勉強してるの。アスランは教えてくれるって言うんだけど、言ってただろ
テストが済んだら忙しくなるって・・・だからそれまでゆっくりさせてあげたいんだ・・・」
頬を染め、えへへと笑うカガリ。
それを見たシンは今までの幸せが崩れていくのを感じた。
アスランのため・・・・
こんなに苦しいならやめればいいのに・・・・
どうしてオレはカガリが好きなんだろう・・・・
きっとカガリもこんな気持ちでもちろんアイツもこんな気持ちなんだ。
だけど・・・



「コンニチワ」
職員室から出てきたアスランにシンは声をかける。
生徒会業務の後、アスランは職員室に鍵を返しに来ていたのだ。
カガリたちは靴箱に行っている。
アスランは返事をせず、人睨みするとすぐさまシンを通り過ぎようとした、が
「お昼休み カガリがどこに行っているか知ってますか?」
というシンの言葉に足が止まる。
「ああ、知らないんだ」
シンの勝ち誇ったような笑みにアスランは眉を更にしかめる。

「オレと生徒会室にいるんですよ。2人きりで」
「何言ってるんだ?」
「信じませんか?なら明日来てみたらいい」
シンはそういうとふんっと向きを変え階段を下りていった。

カガリが・・・・シンと・・・?
勉強してるんだよな・・・・なんでシンと一緒なんだ・・・
『明日来てみたらいい』
シンの言葉がアスランの頭の中に響いていた。



シンは走っていた。
ちょうど3年の靴箱からは死角の為、シンの姿をカガリたちに見られることはない。
急いで靴を履くとまた走り出した。

分からない!!
そんなことアイツに言ってどうなる!!
カガリが悲しむだけじゃないのか・・・オレ・・・カガリを悲しませたいわけじゃないんだ・・・
ただ、オレのことも見て欲しくて・・・
シンは何かを振り払うように走り続けていた。




カガリが昼休みに行かないでくれたら・・・
アスランは4時限の授業中ずっとカガリの背中を見ていた。
シンの言葉を信用したわけじゃない。
カガリを信用していないわけじゃない。
そんなことはとっくの昔に分かっていることだ。
いや、信用と言う言葉は正しくないのかもしれない。

もし一緒にいるのがミリィやキラ、ラクスだったら
笑って俺に聞けとでも言えるかもしれない。
でも、どう考えてもシンがカガリに勉強を教えられるわけがない。
ではカガリがシンに・・?
それもないだろう。
カガリが勉強しているのは確かだろうし。
授業を終えるチャイムが鳴ると、キラ、ラクス、カガリ、俺で弁当を食べる。
いつもと変わらない光景。

「じゃあ、今日も行ってくるな!」
ああ・・・・
アスランは胸が痛んだ。
「カガリ・・今日も行くのか?」
アスランは懇願するような瞳でカガリを見る。
「今日で最後だ。後は暗記一直線!」
そういうと、カガリは教室から飛び出して行った。

「カガリ元気だね」
キラはそんなカガリを微笑ましく見ている。
「キラ」
「ラクス。違い分かってるよね?」
「・・・分かってますわ」
カガリさんに対する愛情と私に対する愛情。
「でも、ヤキモチも焼かなくなったらお終いでしょう」
と微笑むラクスに、キラは目を丸くしたあと、笑った。

「あれ?アスランどこか行くの?」
立ち上がったアスランを見てキラは聞いた。
「ちょっとな」
キラの顔も見ずにそういうとアスランは教室を出て行った。
アスラン?
キラはアスランの表情が少し気になっていた。


「シン?どうかしたのか・・暗いぞ?」
「え・・いや・・・」
生徒会室ではいつものようにシンとカガリが勉強をしていた。

来るのだろうか・・・アスランは・・・
シンはそれが気になって勉強に手がつけられなかった。

「シンがいてくれてよかったよ」
「え?」
カガリの言葉に俯いていたシンは顔を上げた。
「1人のほうが集中できるって思ってたけど、一緒に頑張れる人がいるっていうのも集中力が上がるな!」
「・・・・カガリ・・・オレもっオレもだよ!」
うん、とカガリはにっこり笑った。

「カガリ・・・・」
部屋に響く声。
シンのものではない・・・
「・・・・・・・・・アスラン・・・・・・・・・・」
カガリは困惑した顔で声のした方を見る。
そこにはボーゼンと立っているアスランがいた。

「俺とは居たくなくてもそいつならいいのか?」
「ア、アスラン・・」
カガリはアスランの冷ややかな声に慌てて席を立つ。
「ここで勉強してたんだ。シンもここでしてたみたいで・・・」
カガリはアスランに近づき事情を説明しようとするが、アスランの瞳はカガリに向けられることはなくシンを見ていた。

シンはカガリの困ったような顔を見て困惑した。
こんな表情をさせたかったんじゃない。
困らせたかったんじゃない。

「・・・たまたま会ったんだ・・・他の人が来ないから勉強するのにちょうどいいと思って・・」
シンは俯いて声を発した。
カガリの言葉に感じたもやもやをアスランにぶつけてしまったのだ。
何も考えないで・・・
その結果がこれだ・・・

次の瞬間、アスランがシンに近づいた。
「アスラン!?」
カガリはアスランの殺気に慌てて止めに入る。
アスランはシンの胸元を掴むと、
「出て行け」
と、ドアの外に投げ出した。

シンは背中から廊下に落ちていった。
「オレッ・・・」
シンが何か言いかけたがその前に部屋の扉は閉った。



生徒会室の中に沈黙が続く。
「ア・・アスラン・・・?」
ここにいたことがよくなかったのだろうか・・・?
カガリは思い沈黙の中アスランが黙っている理由を考える。
シンいたから・・?
でもシンは生徒会の仲間だし・・・

「どうして秘密にしてたんだ?」
「秘密?」
アスランの言葉にカガリは首をかしげる。

秘密にしていた?
私はアスランが気にすると思って別の場所で勉強をしてたんだ。
これは秘密なのか?

「シンといたなんて知らなかった」
アスランははぁっとため息をつきながら言った。
「シンとはたまたま会ったんだよ!」

アスランは何も言わずぶすっとしている。
「わっ私はアスランが好きだって言ってるだろ!」
「知ってるよ」
「じゃあ何怒ってるんだよ!」
「・・・・俺に隠れてシンと会うからだろ!」
「隠れてない!勉強してただけだろ」
「じゃあなんでこんなところに来て勉強する必要がある!?」
「人がいないほうが集中できると思ったからだ」
カガリは肩で息をしながら怒鳴った。

「・・・・・・・・シンはよくて俺はダメってことか・・・」
「違う!!」
カガリは大きく首を横に振る。
「シンとはたまたま会ったんだ!何で分からないんだよ!」
「分かってないのはカガリだろ!」
シンはお前のことが好きなんだ。
そんな奴と2人っきりにさせて喜ぶ奴がどこにいる。

「シンはいい奴じゃないか!」
「じゃあ、シンと付き合えばいいだろ!!」

時が止まる。

なんて言葉を口にしたのだろう・・・・
思ってもない・・・いや、思うはずもない言葉・・・
カガリは何も言わず、あふれ出す涙を落としながらその部屋を出て行った。






あとがき
かがたーーーん!!
って感じですかね?
人は同じ間違いを繰り返す生き物です。
はい。私もパソコンにジュースかけちゃいます。誓ったはずなのに・・・もうここで
炭酸の蓋は開けないって・・・・(笑)

ちょっとシビアな話でしたね。
これが済んでもまだ大波が来ますから。
それにしても良く続く。。。こんなに長いと初めて来た人は読む気にならないのでは!?
と思うぐらい・・・。
シンは嫌われちゃうかなぁ・・って思ったんですが、結果オーライになる予定なんで(笑)
どっちか終わらせて新しい連載を始めたいとも思うのですが・・・まだ・・・ちょっと・・・
3つはさすがに無理。
混乱どころじゃすまないよ〜SEED小説も有るし、漫画描いてるし、絵も描いてるしで・・・。