「あ、カガリがオシャレしてる」
季節は夏、最後の夏休みとなっていた。
カガリは猛勉強のおかげかテストの結果は良く、追試や補習は余裕で避けられた。
で、今は何をしているかというと・・・
「キラ覗くなよ・・・」
カガリは恥ずかしそうに鏡に映ったキラを見る。
「だって、通ったら部屋から鼻歌が聞こえるんだもん。」
「・・・歌ってたか?」
カガリはそんなバカな!と言うように聞き返す。
「歌ってたわよ〜」
母もキラの上からカガリの部屋を覗き込む。
「アスランとデート・・・だよね・・その様子じゃあ」
カガリは照れたように頷いた。
「若いっていいわねぇ」
母は頬を赤らめ言った。
「母さんだってそんな時期あったでしょ」
キラは気持ち悪い言いかたしないでよ〜と呟く。
「お母さん、アスラン君だったら息子になってもいいわね」
「「は!?」」
キラとカガリは声をそろえ叫んだ。
「だって、小さい頃から知ってるし、信頼してるし、すでに息子のような感じだもの」
「母さん、まだ早いよ!」
キラは慌てて突っ込む。
「あら?カガリちゃんももう高校卒業よ。しっかり女性だものね」
母はそう言うとカガリに近づき髪を優しくなでた。
「母さんはキラにもカガリちゃんにも幸せになってもらいたいもの」
慈しむような眼差しにカガリは胸が温かくなる。
「ありがとう・・・」
「カガリ」
「ん?」
キラの呼びかけにカガリはキラのほうを向く。
「似合ってるよ、そのワンピース」
3人を暖かい空気が包む。
「ああ」
うれしそうなカガリの顔・・・幸せな時間だ。
輝く星〜デートと進路〜
「アスラーン!」
待ち合わせは近くの公園。
カガリはすでに来ているアスランに気づき走り寄った。
「お待たせ・・・」
息を切らしながら言うカガリにアスランは慌てなくていいのに・・と微笑む。
「なにも待ち合わせしなくても家まで迎に行ったのに・・」
「・・・はは・・」
カガリはアスランの言葉に照れ笑いをした。
アスランはそんなカガリに?マークを浮かべる。
「ちょっとしてみたかったんだ・・・」
「何を?」
「たまにさ・・・こう・・・待ち合わせしてる恋人を見るだろ?なんか・・いいなぁって・・・」
カガリはアスランを見ながらへへっと笑う。
アスランはカガリの言った意味を理解すると、何も言わずカガリの髪をくしゃっと撫でた。
「うおっ・・なんだ?」
アスランの行為にカガリは男らしい声を出した。
「いや・・・可愛いなっと思って・・」
そんなカガリの男らしさも愛しく思いながらアスランは言った。
そういえば、いつも俺が迎えに行ってるから外で待ち合わせすることってなかったなぁ・・・
乙女心・・・なんだろうか・・・?
アスランは必死にカガリの・・いや女の子の考えていることを理解しようとする。
アスランがそんなことを考えてる横でカガリは真っ赤になって俯いていた。
「どこ行きたい?」
「う〜ん・・・」
最近出かけたところと言えば・・・アスランの家だ。
夏休みになり、かなりの時間をアスランとカガリは一緒に過ごしていた。
だが、そんなにたくさん会っていて、どこに出かけることはしていない。
学生の身分だ。
遊びまわるほどお金もない。
「そうだな・・・ぶらぶら歩くのもいいかもしれない」
「目的なしで?」
「なしで!何があるか分からないから面白いだろ?」
「ああ」
カガリらしい。
カガリは自由を好む。
ときどき羽が生えてどこかに飛んでいってしまいそうだ。
「アスラン、あの店入ろう!」
カガリが指差したのは古びたお店。
「ラクスが教えてくれたんだ。見た目はダサいけど、中は雑貨がいろいろあって面白いって!」
カガリはそう言うと店に走っていこうとする、がアスランがそれを静止する。
「危ないだろっ」
カガリの目の前を車が通り過ぎる。
「わ・・ありがと・・」
カガリが困ったような顔をすると、
「さ、行くぞ」
アスランはカガリの手を取り店へと走り出した。
2人は道路沿いにある店を見てまわった。
アスランは思う。
カガリは・・・見ていて飽きない。
店を出ると、ふらふらっと違う店へと歩いていく。
が、その店につくと、もう次の店のショーケースに目が行っている。
ちゃんと前を見ているのか危なっかしいのだが、その姿が妙におかしくてじっと見入ってしまった。
「なんだ?」
カガリはそんなアスランを不思議そうに見ていたが、すぐ次の標的が見つかるのかふらふらとまた歩き出す。
「そろそろどこかでご飯食べないか?」
アスランの言葉にカガリはお腹が空いていることに気づく。
「・・・お腹すいた・・・」
「だろ。何がいい?」
「簡単にマック!」
そう言いながらカガリが指差した先にはうまいことにマックがあった。
2人はセットを注文すると席へとついた。
「アスランは友達と出かけないのか?」
カガリはポテトをぱくりと食べながら聞く。
「友達って言っても・・・キラぐらいだしな・・・」
「じゃあ、キラとはどんなとこ行ってたんだ?」
どこに・・・
アスランは記憶を探る。
「どこにも・・・いつもキラの家に行ってたしな・・・」
「男ってそんなものなのか?」
「・・・まあ、女の子ほど出かけないんじゃないか?」
ちゅうっとジュースを飲むカガリ。
「カガリは前の学校の子とは?」
「私か?私は・・最近は会ってないなぁ・・・」
カガリは懐かしいクラスメイトを思い出す。
「夏休みだし、会ったらどうだ?」
「でも、その分アスランといる時間が少なくなるぞ」
「それは困る」
なんとも・・・そっけない会話。
俺・・なんか緊張してるのだろうか・・・
いつもみたいに会話が進まない。
話に困るとか、過ごしにくいとかじゃなくて、なんていうか・・・
カガリとデートっていうのは初めてなのかもしれない・・・
いつも、俺の家だったり、カガリの家だったり、キラやラクスがいたり、
夏休みだって、朝から遊ぶということはあまりなかった。
課題もそれなりあるので一緒にいてもそれをやることが多かったし、
講演会の準備もあった。
「アスラン、しっかり食べろよ」
考え込んでいるアスランにカガリが声をかける。
「あ?ああ」
アスランはパクリとハンバーガーを食べた。
「そういえば今日・・・・」
「なんだ?」
「講演会の日だなぁ・・・」
アスランは思い出したように呟く。
シンは寝てないだろうか・・・
そんな心配をしながら・・・
「長い・・・」
シンはポツリと呟く。
ここは学園の1番広い講義室。
収容人数は400人程度だろうか
教壇ではサクラ学園の学長が話している。
サクラ学園の学長。
初めて見たが、なんともまあ、インパクトの強い人物だった。
髪は漆黒で腰まであり、少し癖があって・・まるでワカメのようだった。
それにしてもこの人物は・・・
『であるからして、人類は皆、自分の役目を、成すべきことを知り行動することが大事なのである』
こんな感じで、語り続けている。
『与えられた役目をするだけでなくそれが自分にあっているかどうかを知る事も大事なことです』
シンは手元にある講義の説明プリントを見た。
”人と運命について”
サクラ学園学長 ギルバート・デュランダル
なんだかよく分からない・・・
シンははぁっとため息をつくように目を閉じた。
うとうとと気持ちい気分になってくる。
ちょうどいい温度。部屋に響く声。
講演が始まって1時間、シンはそのまま眠りについてしまった。
「カガリこれからどうする?」
2人はご飯を食べ終わると一息ついた。
「・・・・なんかあれだなぁ」
「?」
「アスランと2人で出かけるなんてデートみたいでうれしいけど、行くとこってあんまりないな・・・」
「カガリ、デートみたいじゃなくて、デート」
アスランはこつんとカガリのおでこをつつく。
するとカガリは顔を染め、照れたように笑った。
「なるべくお金使わないようにしてるもんな・・俺たちバイトとかしてないし・・・」
お金を使わず・・・となると、なるべく近場になる。
2人でいるだけで、楽しいのだが、この辺りはキラやラクスたちともよく出歩く場所だったので面白みはない。
行き先を決めずに歩いたはいいが、同じコースを回っているだけだった。
「私・・・考えてることがあるんだ・・・」
「何?」
「バイト・・とかしてみようかなぁ・・って・・・」
アスランは驚いたようにカガリを見た。
「夏休みの間少しだけでも・・・授業始まったら忙しくてできないだろうし、私就職組みだからさ」
「就職・・・・・」
「あれ?言ったような気がするけど・・?私、卒業したら就職しようと思うんだ」
「いや・・前に聞いてたけど・・・」
やっぱり・・・するんだよな・・・
「大学に行きたいわけでもないし、できれば早く自立したい」
「アスランはバイトしたことあるのか?」
カガリの振りにアスランはどもるように答える。
「・・・知り合いに頼まれて家庭教師ぐらいはしたことあるけど・・」
「家庭教師!?」
カガリは何を思ったのか慌てたように立ち上がる。
「??」
アスランは驚いてカガリを見上げた。
「どうしよう!!」
慌ているカガリをアスランはじっと見る。
「私、アスランに勉強見てもらってたのに・・お金払ってない!!」
2人の間を沈黙が包む。
「・・・・・・・あはっっっ!」
と、アスランの笑い声が響いた。
「アスラン!?」
カガリはアスランと目線を合わせるように椅子に座った。
「カガリッッ・・ははっごめ・・おかしい・・・っ」
アスランはお腹を押さえ、堪えるように笑っている。
「どうしたんだ?」
「だって・・・そんなこと・・・普通っっ」
アスランは話せなくなるぐらい苦しそうに笑っている。
カガリはそんなアスランを見ているしかなかった。
しばらくして落ち着いたのか、アスランはそっとカガリの髪に触れる。
「気にしなくていいよ・・・俺はカガリの役に立てたらうれしい」
「でも・・・」
カガリは首をかくっと曲げアスランを見る。
やばい・・・
そのあまりの可愛さにアスランは胸が高鳴る。
「カガリ・・・この話、俺の家でしない?」
「アスランの家で?」
「バイトのこととか・・・ダメ?」
「いや、いいぞ!アスランの家は落ち着くもんな!」
カガリはアスランのちょっとした下心に気づくはずもなく、うれしそうにトレーを片付けた。
「素晴らしい・・・」
耳に届く、小さな声・・・
これは誰の声だっけ・・・?
オレ何してたっけ・・・・
シンは夢の世界からゆっくり現実にひき戻って行く。
目を開けると、そこは少し薄暗い部屋・・・
なんだっけ・・?
ああ、講演会だ・・・
そう思い、ふと横を見ると、レイが輝いた目で教壇を見ていた。
「・・・レイ・・どうしたんだ・・・?」
シンは思わずレイに声をかけた。
「彼は素晴らしい考え方の持ち主だ。俺も自分を活かせるように生きていきたい」
レイは輝いた眼差しのまま講演の主、デュランダルを見ている。
全くもって話を聞いていなかったシンにとってわけの分からない言葉だったが、レイがここまで感動している
のをみるのは友人としてうれしかった。
だが、時計を見ると講演が始まって3時間。
いったい何時に終わるんだ・・・
と、ため息が出ていた。
「ほら」
アスランはココアを差し出す。
「冷たいので良かったか?」
「ああ!ありがと」
相変わらずの生活感のない部屋。
だが、カガリが来るようになってからは最初の頃より温かみがでてきた気がする。
カガリがうちに来るとき必ずお土産を持ってくる。
多分、母親がいろんなものを持たすのだろう。
お菓子や、おかず、ときには洗剤まで・・・まあ、キラの母とは小さい頃から知っていたし、自分をわが子のように接してくれている。
カガリがいるため、遠慮なくいろいろしてあげられると思っているのかもしれない。
「・・・アスラン・・・」
「どうした?」
ココアをじっと見つめたままカガリが少し困った顔をする。
「本当にお金・・払わなくていいのか・・?」
まだ気にしてるとは・・・
アスランはカガリの隣に腰を下ろす。
「いらないよ。取るわけないだろ?」
「そうか?」
「なんで彼女に勉強教えてお金もらうんだよ」
アスランは優しくカガリに微笑む。
うむ・・・確かに・・・
カガリも納得したのかココアに口をつけた。
「で、何のバイトするの?」
「う〜ん・・・短期のものだろ・・・家庭教師・・?」
「・・・教えられるのか!?」
アスランは思わず本音が口を出ていた。
当然のことながらカガリは頬を膨らませ怒っている。
「あ・・ごめん・・・」
「レジ打ちとかも考えたんだけど、覚えた頃にやめるようになっちゃいそうでさ」
「カガリは卒業したらどんな仕事をしようと思ってるんだ?」
「・・・まだ分からない・・・」
できれば自分と同じ大学で一緒に過ごしたい・・
我侭だとは知りつつそんな思いがこみ上げる。
「アスランはどこの大学受けるんだ?」
「・・・・あ・・いや・・・まだ・・・」
「そっか」
『大学に行きたいわけでもないし』
カガリの言葉が頭に響く。
俺も大学に行きたいわけではない。
だが、行っておいた方が・・いいような気がしていた。
どうなんだろう・・・
カガリが就職しても俺は学生のまま。
カガリが自立して社会人になったとき俺は学生だ・・・・
4年通って就職して・・・落ち着いて・・・
「6年は先じゃないか!!」
「おわっっ」
アスランの叫び声にカガリは開けようとしていたお菓子を落とした。
「悪い・・食べちゃダメだったか・・?」
「へ?あ・・いや・・どうぞ・・」
「そう・・?」
カガリはそういわれ、ばりっとお菓子を開けた。
6年って・・・何が6年って言われれば・・・
その・・・まだ早いかもしれないけど・・・というか・・・早いか・・・
結婚・・・について考えるなんて・・・
ただ、正直言って、カガリ以外考えられないんだよな・・・俺。
だったら考えてもおかしくないよな?
好きだもんなぁ・・・
アスランは美味しそうにお菓子を食べるカガリを見る。
俺は早く結婚したい。
と、思う。
できれば少しでも長く一緒にいたいし・・・
でも・・・俺が働くってことは日中は家にいないんだよな?
ということはなんだかんだで一緒にいる時間って・・・
「カガリ」
「ひゃんだ?」
もごっとカガリは口を動かす。
いきなり振り向いたアスランにカガリはほけっと答えた。
「大学へは・・本当に行かないのか!?」
「行かない」
ガクッとうなだれるアスラン。
強制してどうする・・・
ぽり・・
カガリはお菓子をかじった。
「アスランと・・・」
アスランは顔を上げる。
「アスランと違う生活になっちゃうけど、だけど、お互い頑張ってれば大丈夫だと思うんだ
私・・好きになったのってアスランが初めてで、いろいろ迷惑かけたり喧嘩とかもしたけど、
この気持ちってなくならないと思うんだ
アスランが大学いくって知って、やっぱり一緒に行きたいって気持ちはあったんだ。
だけど、これからもずっと一緒にいるためにはまず、1人で立たなきゃいけない
でないと、私はアスランを支えられない」
ぽつりぽつりと話すカガリの言葉は重くて・・・だけど、すごく優しくて・・
俺にとって安心できるものだった。
「正直に言っていい?」
「・・・うん?」
カガリは何のことだか分からないが頷いた。
「俺はカガリと結婚したいと思ってるんだ」
カガリは驚いたように姿勢を正した。
「当然だけど、今はまだ早くて、どう考えてもカガリを支えることはできない」
カラン・・・と氷の動く音が大きく聞こえる。
「でも、俺はそれを1番に考えて生きていこうと思ってる。そうするのが俺にとっても最良の結果が生まれると思うんだ」
「結婚・・・」
今の自分には現実味を帯びない言葉・・
でも、アスランはすごく真剣な顔で私を見ている。
「なんとなく進学するつもりだったけど、もう少し考えてみるよ」
「アスラン!?」
まさか自分のために進学をやめるのかと焦るカガリ。
「違うよ、カガリのためとかじゃなくて、俺も大学に行く意味がよくわかってないんだ。
だからきちんと考えてみる。俺はどうしたいのか、何がしたいのか」
俺にとっても大事なことだ。
このまま進学してもただ勉強するだけだ。
目標がなければ何の意味もない。
「俺って・・・勉強できるし」
自分を指差しにっと笑うアスランにカガリは笑いがでてきた。
「自慢か?」
「そう、自慢」
「あはは。アスランだったら今すぐ博士にでもなんにでもなれそうだな!」
「ならなくていいよ。今は・・・」
アスランはカガリの髪を撫でると
そのまま自分に引き寄せた。
「カガリといることの方が大事・・」
「ん・・・・」
重なる唇。
ゆっくりと・・しかし早く時は過ぎていく。
あとがき
ああ・・・話が結婚・・・(笑)
始まりからは想像できない言葉ですねぇ・・・
プロポーズとは違うんで・・・当然カガリの返事もございません。
続きは裏の話になりますUPは次回。
昔の(学パロ)を見て思ったんですが、行間ツメツメですね。。。
読みにくくないですか?
と思って、直そうとして挫折。。
最初に比べて改行をかなり使うようになってますね。
そのほうが感情が判りやすい気がしたもので・・・