冴え渡るような青い空、絶好の体育祭日和です!

「おはようございます」
「おはよう」
玄関にはアスランとラクスの姿。
今日は学園ではなく競技場へ行く為、キラの家を待ち合わせ場所にしたのだ。

「おはよう!ラクス、アスラン」
カガリは爽やかな空気を背負って走ってきた。
「おはよう、いよいよかぁ・・・」
キラは着替えてはいるものの伸びをしながらやってきた。
「キラ、気合入れろよ」
そんなキラにカガリが渇を入れる。
「そんなにサクラ学園に勝ちたいの?」
キラはカガリに問う。
「勝ちたいってわけじゃない。でも、勝てたらうれしいし、全力で戦わないと相手に失礼だろ!」
「そうですわよキラ、相手に失礼です!」
ラクスもずずいと前に出てそう言った。

最近ラクスがカガリ化している・・・
キラは思った。
いいんだけどね・・・別に・・・やっぱり・・カガリに心を開いてるんだろうなぁ・・・
うれしいけど、少し寂しいキラであった。

「遅れるから早く行くぞ」
アスランのその声に4人は家を後にした。



輝く星〜輝く体育祭〜




「蟻だ蟻」
「チョコケーキに群がるハエじゃない?」
「点描写みたいですわね」

「こら・・・失礼なこと言うなよ・・・」
ここは競技場。
すでにたくさんの生徒が訪れている為、少しはなれたところから見ると、
3人が言ったような情景に見える。

「なんか不思議だよな〜知らない人がいっぱいだ」
「サクラ学園に知り合いなんていないもんね」
「とにかく制服を脱ごう」
さすがに公道を体育着で歩くことはできず、みんな制服の下に体操着を着ていた。


アスランたちは自分のクラスが書かれた場所に行くと、鞄を置いた。
「ミリィおはよう」
「おはよう〜、体調はどう?カガリ」
「ばっちり!」
カガリはミリィにピースをしてみせる。
「よーしやるぞ!」
そういうと、カガリはガバッと制服を脱ぐ。

「わっっっカガリ!!??」
アスランの声にカガリは制服を脱ぎかけた状態で止まる。
「何だ?」
不思議そうなカガリの顔。

そうだ・・・下に着てるんだった・・・。
アスランは思わず顔を赤らめる。

「アスラン、恥ずかしい・・・」
キラが冷めた目でアスランに呟いた。


両校の生徒もほとんどが集まった頃。

『それでは両校の皆さん、整列してください』
と、アナウンスが流れた。

さあ、体育祭の幕開けです。




2校の体育着のカラーは分かりやすくわかれていた。
青空学園はブルーメインに、サクラ学園は赤がメインになっているので、
遠目で見てもどちらの生徒かすぐに分かる。

「カガリ!おはよう!」
「シン!」
シンが手を振りながらカガリの元に駆け寄る。
「着いてすぐに探したんだけど人が多すぎて見つからなくてさー」

「おはよう、シン」
「キラ先輩、ラクス先輩おはようございます・・あれ?アスラン先輩は?」
「今先生のところ行ってる、あ、帰ってきた」
アスランがこちらに向かっているのが見えた。


シンだ・・・
アスランは前の方にいる集団を見る。
カガリの蜜色は光をまとって金色に見える。
カガリにシンにキラにラクス・・・
そこまでいる人物を確認すると何かに気づく。

少し離れたところに男子生徒や女子生徒の塊がいる。
色からサクラ学園の生徒だと分かる。
その人たちがちらちらカガリたちのほうを見るとひそひそ話しているのだ。
なんだ?
不思議に思いながらもアスランはその集団を通り過ぎた。

「きゃっかっこいい!!」
小さな声だが女性徒の声が耳に入ってきた。
「私、あの黒髪の子がいい〜」

「あのピンクの髪の子ってラクス・クラインだろ」
「金髪の子いいなー・・・帰りに誘ってみるか?」

・・・・・・・・ああ、そういうことか。
どうやら異性を物色しているらしい。
恥ずかしいとは思わないんだろうか・・


「カガリ」
「アスラン!」
カガリはそんなこと露知らずうれしそうに笑いかける。
「おはようございます」
「シンおはよう」

「ねえアスラン、さっきから変な視線を感じるんだけど・・」
キラが苦笑いをしながら言った。
「ほっとけよ。あんなの」
と、言いつつアスランは先ほどの男子生徒を睨みつけていたのだった。



『100Mに出場する人は〜』
「あ、私行かないと!」
カガリが放送を聞いて出番だと気合の入った声を出す。

「1位がんばれよ!」
「まかせとけ!」
シンが激励を送る。
「頑張ってくださいね」
「うん!」
ラクスも声援を送る。
「怪我しないでよっっ」

「こんな時ぐらい怪我してでも勝てって言えよ」
「怪我していいわけないじゃないっ」
キラは怒ったように返す。

「カガリ、応援してるからがんばれ」
アスランは微笑む。
「ああ!」

カガリがいるだけでどんな行事も楽しいと思える。
幸せってこういうことなんだろな・・・。



カガリはダントツ1位だった。
その後、カガリとキラの400M、アスランとキラの1500Mも1位となった、
そして午前の競技が終わり、お昼の時間となる。



「私たちってすごくないか?」
木陰にマットを敷いて食事を取ることとなり、5人はそこへ向かっていた。
「何が?」
「だって、私とキラとアスランは出た種目1位なんだぞ!」
「私は4位だけどね・・・」
ミリィが呟く。
「いや、そんな意味じゃっっ」
カガリは慌てて否定したが、
「やだ、冗談よ。気にしてないってば」
ミリィはそんなカガリを見て楽しそうに言った。

いい場所を見つけると、カガリはそこにマットを敷く。

「みんなお弁当は持ってきてないんだろ?」
「うん。カガリのお母さんが作ってくれるって言うのに甘えちゃった」
「へっへ〜」
カガリはうれしそうに大きな包みを鞄から出した。
キラも同じものを取り出す。

「じゃーーーん!」
蓋を開けると、そこには5人では食べきれないのでは?という程の料理が詰められていた。
「母さん張り切ってたよ、みんなの分も作れるなんてうれしいって」
「キラのお母さんは料理が好きなの?」
お弁当を覗き込んでいたミリィが言った。

「好きだよ。それに誰かの世話を焼くのが好きみたい」
「じゃあ、いただきましょうか」
ラクスが声をかける。
「あ・・・そういえばシンも一緒に食べるようなこと言ってたけど・・・」
カガリは思い出したように言った。
「先に食べてたらいいんじゃない?」
「場所分かるかな・・・?」
「俺たち目立つみたいだから大丈夫だろ」
アスランは先ほどの光景を思い出す。
ラクスにキラ、カガリ・・・この3人がいる場所は空間が開いたように目立っていた。

「カガリせんぱーーい!」
華やかな声が聞こえてきた。
「ミーアだ」

「カガリ先輩、皆さんごはん一緒してもいいですか?」
息を切らしながらミーアは走ってきた。
並べてあるお弁当を見て目を輝かせる。
「すごい!おいしそう!」
「ミーアも一緒に食べるか?」
「いいんですか!?」
「ああ、大勢の方が楽しいし、お母さんも喜ぶよ」
わーいっと言うとカガリの隣にすぐさま座る。
カガリの隣、それはアスランとカガリの間だった。

わっっ・・・また問題起きないかな・・・
と、キラは思わず顔を歪める。

「シンはまだですか?」
「やっぱりシンも来るっていってたよな」
「ええ、早く行かないとって・・・走っていきましたよ」
「ミーア、敬語使わなくていいぞ」
「え?」
「友達なんだから気にするな!」

「んー!やっぱりカガリ先輩って素敵!!」
ミーアはうれしそうにカガリに抱きついた。

・・・どうなってるんだろう・・・
確かこの子はアスランのことが好きで・・いろいろあって・・・
なんでこんなにカガリ大好きオーラが出てるの・・?
キラは不思議で仕方なかった。
思わずアスランを見ると、
アスランも間が抜けた顔でミーアとカガリの抱擁を見ていた。


「私、シン探してくるな!」
カガリはそう言うと立ち上がった。
「カガリ、相手も動いてるんだ下手に探し・・」
アスランが言い終わる間もなくカガリはすでに米粒サイズになっていた。




「カ・・カガリが見つからない・・・」
シンはきょろきょろしながら早足で歩く。
見えるのはごちゃごちゃした人ばかり。

お目当ては金色に輝く髪。
当然近くには藍色の髪やピンクの髪もあるだろうからそれを目当てに探すもののなかなか見当たらない。
「絶対目立つはずなんだけどな・・・」
どこで食べるのか聞いておけば良かった・・・
シンの心に後悔が渦巻く。

「ああ!もう・・・・・あ・・?」
シンはイライラから後ろを振り返る・・・
と、コンクリートの壁に消えていく金色・・・

「カガリ!?」
やっと見つけたとばかりにシンの瞳が輝く。
シンは走り出す。
「カガリ!」
壁を曲がったところの物置だろうか・・・カガリはそこで膝を抱えじっとしている。

どうしたんだろう・・・
こんな薄暗いところで・・・
「どうしたの?・・具合でも悪い・・?」

反応しない。
「お昼一緒に食べようと思って・・来たん・・だけど・・・えっと・・・」
いつものカガリとはあまりに違う態度にシンは不安になる。

「具合悪いんじゃない?それとも・・・それで競技に出れなくなるのが心配とか?
それなら・・・その分オレが頑張るから・・・だから・・・先生のとこ行こう?」
カガリがゆっくり首を横に振るのが見える。

シンはどうしたらいいか分からず黙り込んでしまう。
表の方では明るい声が飛び交っている、まるで違う世界のようだ

「オレ・・・何ができるかわからないけど、オレが守るから・・・なにか苦しいこととか、アイツに言えない事とか
あるんなら・・オレが聞くから・・・だから・・・」

こっちを向いて欲しい・・・

「守る・・・?」
小さく、囁くような声が聞こえる・・・

「え・・うん!オレが守るからっっ」
シンはやっと聞こえた声に弾んだ声で答える。
「だからこっち向いてくれるかな?」

その言葉にカガリの影はゆっくりとオレの方を・・・・


え?

こ・・・・

この子・・・誰?

「守る・・・・ステラを守ってくれるの?」

振り返った金色の髪はカガリではなく・・・知らない女の子だった・・・

「あ・・・・あれ・・・」
「ステラ守ってくれる」

光に照らされた彼女の髪は・・・カガリより明るくて・・・青空学園の服じゃなくて・・・

人違い!!!!

シンの顔はみるみる真っ赤になっていく。

「名前、教えて」

「え・・っと・・・その・・・」
人違い何ていえない・・・

「んー・・・と・・・・」
どうしたらいいんだ・・・
知らない子に守るとか言っちゃって・・・オレ恥ずかしい〜!

「?」
女の子は首をかしげシンを見ている。

「シン・・・・っていうんだ・・・」
思いつかなかった。
結局、質問に答えるしかできなくて・・・。

「シン、ステラ守ってくれる!うれしい!」
女の子はシンに飛びつくように抱きついた。

「おわああああっっっちょっと・・・まっ・・」

「シン?」
なんてタイミングの悪いことだろう・・・
この声はさっきまで自分が捜し求めていた・・・・

「カ・・・カガリ・・・」
女の子に抱きつかれたまま首だけを後ろに向ける。

予想通りそこにはカガリがいた。

「探してたんだ、お昼一緒に食べようって言ってただろ」
言ってました。
「場所わからないだろうと思って」
分かりませんでした。

「私はこんなとこでごはんなんて食べないぞ」
近づかないで下さい・・・

「あれ・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・。

「わっっって悪い邪魔しちゃったか!?」
カガリは顔を真っ赤にし飛び跳ねるように後ずさりする。

カガリが見たのはもちろん・・・シンと女の子が抱き合ってる姿。

「違うんだ!カガリ!!」
「シン・・・?」
何とか誤解を解こうとするも、自分の胸元にいる女の子はクリクリとした瞳でオレを見つめる。


シン・アスカ
絶体絶命であった。






あとがき

体育祭です☆
ステラ、本編初登場でございます〜!
うれしい、やっと・・やっと出せたよ〜☆
雰囲気というか、キャラ的なものはアニメと同じ感じで書いていきたいと思ってます。
それにしても体育祭なのに走ってるとことか出ないのは、・・いえ、後半で出ます・・・ちょっとは・・