なんでオレはこんなことになってるんだろう・・・

後ろには愛しい女の子。
胸の中には知らない女の子。

「えっと・・・どうしようその子も一緒にお昼食べるか?」

・・・・・え・・?
カガリの言葉にシンはマジっすか!?といわんばかりの顔をする。

「初めまして、私カガリっていうんだ」
カガリは今だシンの胸の中にいる女の子に話しかける。
まだ、顔を赤らめたままだったが、シンを置いてみんなの元に戻るのは気が引ける。

「・・・・・カガリ・・」
「そうだ!名前は何ていうんだ?」
「・・・・・ステラ・・・」

「ステラか、な、お腹空いてるだろ?一緒にごはん食べないか?」
その時、ステラのお腹がぐぅ〜と鳴った。
「空いた」
「よし、じゃあ一緒に行こう!」

シンはそんな2人の姿を訳も分からず見ていた。

カガリが誰とでも仲良くなれるのは知っていたが、まさか・・・こんな時にまでとは・・・
シンはカガリに言われるままついていくしかなかった。



輝く星〜連携プレー〜




「カガリ達はどこでごはん食べてたんだ?」
「向こうの方」
カガリが指差したのは遥か彼方。
それじゃあ見つからないよな、シンはため息をついた。

「ステラ・・お腹空いた・・」
「ああ、たくさんあるからな安心しろ!」
カガリはステラににっと笑う。



「カガリじゃないか〜」
そのとき、体に粘りつくような声が耳に届く。
カガリとシンはは声の主へと視線を向けた。

「ユウナ!?」
シンの横でカガリが驚いたような声を上げる。
「そういえば青空学園に編入したんだったね〜」

なんだこいつ・・・・
近づいてくる男をシンは睨みつける様に見ていた。
「ユウナこそどうしたんだよ?お前・・」
「僕はサクラ学園の教師をしてるんだよ」

「「教師!?」」
カガリだけならまだしもシンも一緒に叫ぶ。
こんな気持ち悪い奴が教師かよ・・・
見た目からして好ましくない。

紫の髪をし、頬には立派なもみあげがある。
しかも歩き方がなんだかキモイ。

「シン・・・」
ステラはシンの後ろから声をかける。
ユウナはステラの存在を知ると眉をひそめた。

「カガリ、今度うちに来ないか?」
ユウナはカガリに向き直ると言った。

「え?」
「君の父上にはとても世話になったからね」
「別に・・・いいけど・・・」
「そうかい、約束だよ」
ユウナはうれしそうに微笑むと、カガリの頭を撫でた。

ぬおおお!?

シンはそんな2人を炎渦巻く瞳で見る。
「早くしないとお昼食べれなくなるよ」
カガリにそういうとユウナはその場を去る。
振り返りざまにシンを「ふん」と鼻で笑い・・・


「なんだよアイツ」
気に入らない。
サクラ学園の教師だって・・?
とにかく気に入らない!!!

「シン早く行こう!みんな待ってるから」
カガリの言葉にシンはユウナのことは後回しにし、みんなのいる場所へと急いだ。





「見つかりましたのね」
ラクスはみんなのお茶を注いでいた。
「良かった。探しにいこうかと思ってたんだ」
アスランは安堵した瞳でカガリを見る。

「・・あれ?その子は?」
キラはシンの後ろにいる女の子に気づく。
「シン、私と間違えてこの子に声かけたらしいんだ。で、一緒にごはん食べようと思って」

さすがはカガリさん・・・それだけでお昼に誘うなんて・・・
ラクスは感心した。

「さー食うぞ!」
カガリはドスンと座る。
「カガリ先輩、午後は何に出るの?」
ミーアはすぐさまカガリの横に行き、お茶を差し出す。

「2人3脚と借り物とリレーだ」
「そんなのでるの!?」
「もちろん!元気ならありあまってるしな」

「早く食べようよ」
シンの声にみんなが箸を手にする。


「「「「「「「いっただっきまーす!」」」」」」」


「そういえばさっきのやつ誰だったんだ?」
シンはたこさんウインナーをほおばる。
「ユウナのことか?」
「ユウナ?」
アスランは聞いた事の無い名前に聞き返す。
「お父さんの働いてた会社の社長の息子さんなんだ」
なんだか長い肩書き(?)だな・・
アスランは思う。
「なんで教師をしてるのかは知らないけど、小さい頃よく・・いじめたんだ」

「いじめた!?」
「いじめるつもりは無かったんだけど、今となってはいじめてたのかも」
嫌がるユウナに蛇を投げたり、嫌がるユウナを川に飛び込ませたり・・・
ああ、なつかしい・・・
カガリは1人思い出に浸る。
キラはそんなカガリの想いが分かるのか苦笑いした。

「カガリ」
アスランはカガリの目の前におにぎりを差し出す。
「ん」
カガリはそれをぱくりと食べた。
「僕も」
それを見たキラもカガリにおにぎりを差し出す。
「ん」
カガリはぱくりと食べる。
「じゃあ私も!」
ミーアまで差し出してきた。
カガリはもちろん食べる。
「じゃっじゃあオレもっっ」
シンは慌てておにぎりを掴んだ・・・がカガリの口はめいいっぱいで入る隙がなかった。

・・・・・・・・・・・・くそうっっ
シンは顔をそらすと薄く瞳を潤ませた。
そしてその瞳を開いた先にあったのはあんぐりと口を開けたステラの姿。

「・・・・・・・・・・・・・・・」
シンはとりあえず開いた口におにぎりを入れる。
ステラはむしゃむしゃとそれを食べた。
すると今度は唐揚げを指差す。
シンは唐揚げをつかむとまたあんぐり空いているステラの口に入れる。

その動きを何度も繰り返す2人。

「・・・・・・・・・・・アスラン・・・」
「なんだ?」
「なんか・・・リピートされてるぞ・・」
「楽しそうだな・・」
「楽しそうか?」

シンは黙々とステラの口に餌を運ぶ親鳥と化していた。




「んーお腹いっぱい!!!」
伸びをしたカガリに続き、みんなが立ち上がる。
「もうそろそろ戻らないと」
ミーアは自分の持ってきたお弁当箱を手に取る。

「ステラ・・1人で戻れる?」
瞳をきょろきょろしているステラを見てミリィは声をかける。
どうもこの子は危なっかしい。
カガリとは違う意味で・・である。

「大丈夫だろ。子供じゃないんだから」
そういうシンを子供が偉そうに言ってるなぁ・・・と
キラとミーアは見た。
「でもなんだか頼りないし・・・」
「じゃあ私が」
と、カガリが言いかけたが、

「ステラ!!!」
そのとき、この少女を呼ぶ男の声が聞こえた。

「あ・・・・アウル・・・スティング・・・」
どうやらこの子の知り合い・・というより保護者らしい。

「どこ行ってたんだよ!メシ食ってる途中でいなくなりやがって!」
綺麗なブルーの髪をもつ少年はあからさまに怒っている。
「・・ピーマン・・嫌い・・」
「はぁ?それでいなくなったっていうのかよ!」

「まぁまぁ、ごはんは私達と一緒に食べたし怒らないでくれよ」
カガリは押されっぱなし(でも、反応は普通)のステラを庇うように間に入る。

「そうですか・・ステラが迷惑かけてすみません」
一緒に歩いてきたグリーンの髪をもつ少年はペコリと頭を下げる。
「いいんだ。私も楽しかったし」

楽しかった。
シンとステラの行動はしばらく続き、慣れてきたのかステラの隙を見てシンは自分の口にも
食べ物を運んでいた。
言い方はおかしいが見事な連携プレーだった。

「さ、ステラ戻るぞ」
ステティングはそう言うとステラの腕をつかむ。

「・・・シン・・・また・・・」
ステラはシンを見つめ言う。

「え・・?・・・あ・ああ・・・・また・・・」
シンはとりあえずそう言った。
また・・・約束できるようなものではないが、断れるものではなかった・・・
断るものでもないし・・・
シンはぽりっと頭をかく。


「青少年の春ですわね〜」
ラクスの美しい声が響く。
「変わってるけど可愛い子だったわよね」
ミリィはにやっとシンを見る。
「けっこうお似合いかもよ」
キラはひひっとでも笑うかの顔。
「私興味なーーい」
ミーアは体を反転させた。
「?」
カガリは何のことだと首をかしげる。
アスランはというと・・・

ラッキーな出来事かもしれない・・・
なんて思っていた。



『2人3脚出場の人は門前に集まってください』
上から放送の声が降ってくる。

「午後も頑張りますか!」
キラの掛け声にみんなが笑う。
「「「「「「「おーーーーーーー!」」」」」」」
そしてみんなの声が重なった。




「アスラン・・・」
「なんだ?」
「やっぱり・・・キラと走ろうかな・・」
「何でだよ・・・」
アスランはカガリと自分の足を結んでいた手を止めカガリを見る。

少し離れたところではキラとミリィが脚を結んでいた。

「だって・・・なんていうか・・・その・・・」
「俺はカガリと走りたいけど」
「は・・恥ずかしいなぁ・・・なんて・・・」
カガリはあはは・・と頬を染める。

「こうも堂々とくっついてると・・恥ずかしくないか?」
相手がアスランだからであろう。
これがなんとも思っていない相手だったら「優勝するぞ!」と意気込んでるに違いない。
アスランはうれしそうに微笑む。

「なんだよ・・」
「いや。優勝するんだろ?」
「え・・ああ・・・」
「なら俺と組むのが一番!」
アスランはそう言うとカガリの手を取り歩き出す。

「わわっっ・・」
アスランが1歩出すのと同時にカガリの脚も自然と前に出る。
結んでいるから・・という理由だけではない。
進むにつれ、アスランと自分の呼吸が合っているのが分かった。
いや、アスランは上手く自分に合わせている気もする。

『それでは3年の部行きまーす!』

その声と共にアスランとカガリ、キラとミリィはコースへ脚を踏み入れた。






あとがき

2箇所ほど拍手小話をリンクしてる部分があります。
読んでなくても支障はないかもしれませんが読んどいたほうが無難カモ。。
体育祭は思ったより長くなってますね。
次への大事なとこが入ってきてるのでこうなってしましました。
ユウナとかユウナとかユウナとか(笑)
そしてまだ続く。