「キラーただいまー」
明るい声で帰宅を伝えるカガリの声がキラに届いた。

「お帰りカガリ 学校どうだった?」
パジャマのままではあるが顔色も良く、おいしそうにご飯を食べてるキラが食卓にいた。
「あ、キラ!もうだいぶいいのか?」
「うん。明日は学校に行けるよ」
それを聞いたカガリはうれしそうに笑う。
そんなカガリを見て、学校で困ったことはなかったみたいだ・・とキラはほっとした。


叔母さんに聞いた話だとカガリは前の学校でかなりもててたらしい。
話し方はちょっと男っぽいけど、それを除けばどんな人が見ても好感を持つだろう。
ところがカガリ自身はそういうことにすごく疎くて、相手の男同士が勝手に修羅場ということも合ったらしい。

「だからキラ君カガリのこと気をつけてあげてね」
と叔母さんに別れ際、言われたんだ。
もちろん言われなくても守ってあげるつもりでいたけど、この数日実際に一緒に過ごしてみて、カガリがいかに鈍感か分かった。
鈍感というか・・よく言う・・無防備状態だ。

最初の夜は寂しいから一緒に寝てくれと僕の部屋にやってくるし、ミニスカートでも全然気にせず階段は下りてくるし、
服から下着が透けてるのは・・・困った・・・。母さんが注意してくれたけど・・。
とにかくそんなカガリを愛しく思いつつも守りきれるだろうか・・・?という不安も抱えていた。

「友達もできたんだ ミリィにラクス」
「ラクス??」
キラはなぜかラクスという言葉に反応し、なんだかほっとした表情を見せた。
「うん?」
カガリは不思議に思ったがキラの母が差し出してくれたシチューをみるとそんなことはさっぱり忘れていた。
ラクスと仲良くなったんなら安心だね。
キラはそう心の中でつぶやいた。



輝く星〜変化の兆し〜




次の日、すっかりキラは元気を取り戻していた。

「カガリ準備出来たー?」
2階のカガリの部屋に向かってキラが声をかける。

「今いくー」
ばたばたと階段を駆け下りる。
「よし!今日も頑張るぞ!」
カガリは自分に気合を入れてキラと学校へ向かった。


「ねえ カガリ生徒会に入ってみない?」
「生徒会?」
登校途中、キラが思いがけないことを言った。
「僕、生徒会の副会長してるんだ やりがいもあるし、ラクスも書記をしてるんだよ」
「え??そうなのか??」
生徒会がどんなことをしてるのかカガリにはよく分からないが、キラがいる、まだそんなに話したことはないけど
ラクスがいるということで興味を持っていた。

ラクスって・・・なんか・・いい感じなんだよなぁ・・話しやすいって言うか、不思議な感じなんだよな。
カガリはラクスという少女をとても気に入っていた。
前の学校にはいなかったタイプだ。おっとりとした感じが自分とは全く違うのに親しみを感じていた。


「キラ」
カガリがラクスについていろいろ考えていると後ろから聞き覚えのある声がした。
「アスラン おはよう」
「おはよう もう具合はいいのか?」
「うん すっかり良くなったよ」

カガリの目の前で片割れのキラと昨日いろいろお世話になった(?)アスランがとても仲良さそうに話している。
同じクラスだから知ってて当然なのだがあまりの馴染んだ雰囲気にカガリは不思議な顔をしている。
「同じクラスのアスラン。生徒会長をしてるんだよ」
それに気づいたキラはカガリに笑顔で言った。

「あと僕の幼馴染でもあるんだ」
続けてキラはうれしそうに言った。

ああ、なるほど。この雰囲気はそのためのものか・・・
カガリは2人の関係を知り納得して頷いた。


それにしても・・・
アスランは何て表情で私を見てるんだ・・?
カガリから見たアスランは眉間に皺を寄せ怪しんだ表情で自分を見ている。
眼が悪いわけではないらしいから・・・(あの後、視力は 1.2はあると言っていた。)
昨日何かしたかな・・?カガリはその視線と眼を合わせながら考えていた。

「何で一緒に登校してるんだ?キラは昨日欠席してただろう?」
なるほど。それはそうだ。
昨日転校してきた私と、昨日欠席していたキラが一緒に登校してきて不思議がらない奴がいないわけがない。

「ああ、実は僕たちいとこなんだ」
キラは何のためらいもなく準備していた私たちの関係を言った。
カガリもそれを聞いてうんうんとうな頷く。

「あ・・そうなのか」
アスランはちょっと間の抜けた顔でカガリのほうを見る。
「そういえば・・・似てる・・かな・・?」
キラにいとこがいたというのは初耳だがいたっておかしくはない。
いとこだと聞いた後に見たカガリは確かにキラに似ていたのだ。
顔・・というよりも雰囲気が似ている。アスランはそう思った。


「アスラン、カガリも生徒会に誘ったんだ 今日見学に来てもらっていいでしょ?」
まじまじとキラとカガリの顔を見比べていたアスランはキラの言葉に眼を見開いた。

「え?こいつを生徒会に!?」
あまりの失礼な物言いにカガリはむっと頬を膨らませた。

「なんだよ・・」
いかにも怒った口調でアスランに言い返す。

「俺としては学校の生徒会だからって遊び半分でやられると困るんだ」

前の女の子のように意味もなく(自分目当てだったが)生徒会室にいられるとそれだけで迷惑だ。
カガリがそんなことを考えているとは思っていないが、思わずあのときのことを思い出したアスランは嫌味たっぷりに言った。
カガリはその言葉にむっとするどころか切れてしまった。


「なんだと!!私だってポリシーというものがある!!」
大きな声で怒鳴りだしたカガリにキラは焦って落ち着かせようと肩に手をかけるが全く気づいていない。
「お前にポリシーなんてあるのか?」
アスランはまたまた嫌味たっぷりに言った。
「有限実行!何事も楽しくやる!それが私のポリシーだ!!」
カガリは左手を腰に当て、右手をアスランに向け人差し指を立てそう言い放った。
沈黙の時間が訪れる。キラもカガリの発言に思わず固まってしまっている。

それを打ち破ったのは・・・
「ぶっっくくくっっ」
なんとアスランの笑い声だった。

「なっ何がおかしいんだ!!」
カガリは笑われたことにこれまた怒りを露にして言い返した。
それでもアスランは声を殺して笑っている。

キラは親友のその姿を見て驚いていた。

アスランは人付き合いが苦手だ。僕だって小さい頃から一緒にいるけど、正直近寄りがたいときもある。
それはアスラン自身が相手に対して壁を作っているからだ。
それが女の子だと更にひどくなる。
女の子が嫌いだからとかじゃなくて、アスランの容姿に引かれてとにかく近づこうとする人が多いせいだろう。
それが悪いことだとは言わないけど、嘘をついてまで一緒にいようとする子がいるのも事実だ。
アスランはそんな子達にうんざりしていた。

ところが今のアスランはどうだろう?
あんなに嫌がっている女の子に対してあんなに柔らかい表情で笑っている。
正直・・・あんな顔をして笑ってるアスランを見たのは久しぶりだ。
そんな2人を見ながら僕は何て声をかけたらいいのか分からなかった。


「まあ、楽しそうですわね♪」
そこにラクスがにこやかにやってきた。
キラは助け舟が来たとばかりにラクスに近づこうとした。だがそれより先に 「ラクス!」
とカガリがラクスの姿を見てうれしそうに飛びついた。
「まあ」
さすがのラクスもびっくりしたようだがすぐに
「おはようござます カガリさん 今日もお元気そうですわね」
と笑顔で返した。

「皆さん、楽しそうにしてらっしゃるのは宜しいのですがもうけっこうなお時間ですわよ」
その言葉に3人は一斉に時計を見る。
「「「わーーーっっ」」」
3人+1は慌てて教室へと向かった。




授業中、アスランは前の席にいるカガリの背中を見ながら朝のことを考えていた。
何で俺・・あんなに笑ったんだろう・・・

いや、それはカガリが面白かったんだけど、あんなに笑うなんて・・すごく久しぶりな気がした。
学校が楽しくないわけではない。キラと同じクラスでうれしいし、生徒会もやりがいのある仕事だと思う。
ただ・・・何かがすっぽり抜けているような気がした。
カガリはそれを埋めてくれるのだろうか?

「アスラン」
「わっ」
アスランはいきなり聞こえたカガリの声にびっくりして思わず声を上げてしまった。
はっと我に返ると目の前にはきょとんとしているカガリの顔。
そして、クラスの注目を浴びていた。

「んー優等生のアスラン・ザラ君 寝ぼけていたのかい?珍しいねぇ」
バルドフェルド先生は軽ーく笑いながらプリントをピラピラとさせた。

「大丈夫か?ほらプリント」
そういいながらカガリは前から送られてきたプリントをアスランの前に差し出した。
「ああ、すまない」
アスランは何事もなかったようにプリントを受け取った。
それは数学の小テストだった。

アスランにはチラッと問題を見ただけで、すぐに答えが分かる程度のものであった。
そのため、15分という制限時間の5分で済んでしまった。
残り時間がありすぎて暇なとき他の生徒なら机にうつ伏せて寝てしまうだろう。ところが性格的にも優等生なアスランは
いつも暇をもてあましながらも寝ることはできず、ボーっと外を見ていることが多かった。

しかし今日は違った。

回答し終わり、さて暇だなぁ・・っとふと前を見ると小刻みに揺れているカガリの背中に気づいた。

「?」
具合でも悪いのかと思い、じっと彼女の背中を見る。
するとその瞬間彼女の揺れは止まった。
ほっと息をつくと次の瞬間カガリはシャーペンを持ってる手でがしがしと頭を掻いた。
と、思うとプリントに書いては消し書いては消しを繰り返している。

ひょっとして・・・分からなくてこんな行動をしているのか?
そう思った瞬間、アスランは出そうになった笑いを懸命に堪えた。

可愛いやつだなぁ・・無意識にそう思った瞬間、アスランは真っ赤になって俯く。
俺・・・なに思ってんだ・・・?



HRが終わりキラがアスランのところにやってきた。
「ねえ カガリを生徒会室に連れて行ってもいいでしょ?」
キラは「ダメとは言わせないよ」という表情を前面に出して聞いてきた。

「宜しいですわよね?」
キラの隣でラクスが女神のような笑顔をアスランに向けている。
その2人の表情を見て観念したアスランは承諾という意味の頷きをした。
別にカガリに来られるのが嫌ではない。あのときの女の子たちとは違うということははっきり分かった。
だが今問題なのは・・・俺だ。

カガリといるとなぜかいつもの自分ではなくなる気がする。
何なのだろう・・・?カガリの行動、しぐさが気になる・・・
そんなことを考えながらキラたちより先に生徒会室へと向かった。




「ちくしょぉぉぉぉ」
生徒会室から悔しいという思いがたんまりとこもった男の声が聞こえる。
ああ・・・またイザークの苦情を聞かないといけないのか・・・
アスランはうんざりしながら生徒会室の扉を開けた。

するとその扉の開く音を聞いたイザークが恨みをたっぷり込めた瞳でアスランを睨みつけた。

「今度はなんなんだ イザーク」
アスランはイライラしながらもとりあえずイザークに声をかける。無視をすれば無視をしたでそれに関する苦情が増えるだけだと
知っていたからだ。

「文化祭の案件、なぜ貴様の方が通るんだ!?」
「文化祭の案件?」

アスランはいきなり言われた為、何の話か一瞬分からなかった。
だが、「文化祭についての全体的な構成について生徒会役員1人1人にそれぞれ意見を出してもらいたい」とフラガ先生が
言っていたので、それについてのことだと思い出した。

「何でかは知らない。思ったことを書いて提出しただけだ」
アスランはすました顔でそういった。

「俺だって思ったことを書いて出した!やはりクラスが一丸となってできる舞台ものを充実させる。出店は火を使うものは
危ないから火を使わずに出来るものに絞る!それから・・」
「お前・・・そんなので皆が楽しめると思うか?」

「何!?」
アスランの否定的な言葉にイザークは真っ赤な顔をさらに真っ赤にする。
「舞台ものはあるほうがいいが、小学生の演劇会じゃないんだ。ライブなんかを増やすのもいいだろう。でも出店も確かに
火は危ないがちゃんと指導していざというときの準備をしていれば問題ない。火を使わないものだけなんて寂しいだろ?」
アスランの言われて見れば正しいと思える言葉にイザークは口をつぐんだ。
しかし、イザークの怒りは収まらなかった。


「貴様がいなかったら俺が生徒会長だったんだ・・・」
アスランはまた始まったとばかりに自分の机に向かって歩き出した。

「投票で決まったんだから仕方ないでしょう? イザーク副会長」
アスランはその言葉に嫌味をたっぷり込めた。

ああ・・いつもの俺だ・・

アスランは内心ほっとしていた。が、次の瞬間

「へぇ ここが生徒会室かぁ〜」
弾んだカガリの声が聞こえた。その瞬間アスランの顔は真っ赤になってしまう。

イザークはアスランの表情に怪訝な顔をする。

「アスランお待たせ」
キラがひょこっとドアから顔を出す。そしてその下からカガリが顔をだした。

「何だ貴様?」
イザークは見たことのない女の顔を見つけ不機嫌そうにそういった。
「イザーク先輩 この子僕のいとこなんですよ。転校してきたばかりなんです」
それがどうしたとばかりにキラを睨みつけるイザーク。
「生徒会に入ったらどうかなって思ったんで見学に連れて来たんですよ」
「なんだと!?」
イザークはキラの言葉に間髪要れずに文句を返す。

さっきからこいつは・・いい加減落ち着いた会話は出来ないのか・・。
アスランははぁ・・っと聞こえるようにため息をついた。

「今日は昨日できなかった文化祭についての会議をするんだろう。とにかく入れよ」
「うん」
キラ、ラクス、カガリは生徒会室に入りそれぞれ椅子に座った。



「ま、イザークの怒りを見たら分かるように俺の案が通ったみたいだ」
「なっっっ」
また文句を言おうとしたイザークの声を遮ってアスランは話を続ける。

「今年の文化祭は「楽しむ」をテーマにしてみようと思う。
去年は形式どおりの文化祭だったからな 今年は本当にやりたい、楽しめるものを皆にしてもらおうと思う
それで俺だけじゃなく皆の意見も聞きたいんだが」
アスランはそう説明するとキラのほうを向いた。

「そうだなぁ・・・僕だったらコンサートがいいなぁ ラクスの歌が聞きたい」
それを聞いたラクスはにこっと微笑んだ。

カガリは「ラクスは歌が上手いのか!?」っと聞きたかったが、生徒会役員でもない自分がここで口を出すのはいけない気がして
両手を口に当てて押さえた。

「やっぱりコンサートはあったほうが良さそうだな 皆が一緒になれる力も大きそうだし。」
そんなカガリの様子をアスランは横目で見ながら言った。
「しかし機材だって費用だってかなり必要だろう?」
イザークがアスランの意見に反発を入れ始めた。

「学生用に安く貸してくれるところを探してある」
「だがラクス嬢だけで長い時間は歌えないだろ」
「別にラクスだけじゃなくても生徒から参加者を募ればいいだろう」
「しかし・・」

イザークはアスランに敵対心があるためか、一生懸命アスランの意見を否定するようなことばかりを言っている。
誰もが「またいつものが始まった」程度に思っていたがこの中で1人、こみ上げる怒りを今にも爆発させようとしている者がいた。
カガリである。

「お前!!何でさっきから文句しか言わないんだ!!」
我慢の限界がきたのか、カガリはがたんと立った拍子に椅子を倒して立ち上がった!!
それを見たアスランは眼をぱちくりとさせている。

「イザークとかいったな お前はアスランが嫌いなのか?」
カガリは琥珀の瞳をぎらりとさせながらイザークを睨みつけた。
さすがのイザークもカガリの迫力に一瞬ひるんだが、すぐに負けじと席を立ちカガリと目線を合わせた。

「部外者が口を出すことではない!」
イザークの怒りの言葉にカガリも更に怒りを募らせ

「部外者?私はここの生徒だぞ 自分の文化祭についての話し合いに参加して何が悪い!?」
と叫びに近い言葉を吐いた。
「カ・・カガリ 落ち着いて」
キラはこのままでは話し合いが進まないし、カガリが更に爆発してしまう嫌な予感がしたので止めに入った。

「でもっっ」
カガリは眼の端に涙を浮かべてキラを見る。

「アスランだっていい文化祭をしようと頑張ってるんだ・・・なのにこいつは・・それを否定する意見ばかり・・」
その姿を見たイザークは「女はすぐ泣く!!」とでも言ってやりたかったがなぜかその言葉が口から出ることはなかった。
そのときふと視線を感じその視線の主に眼を向けた。
そこには今までで見たこともないような睨みを向けるアスランがいた。

「イザーク 今は生徒会としての意見を言う場だ。個人的な意見はやめてくれ」

その生徒会長としての言葉はイザークをおとなしくさせるのに十分な効果を発揮した。イザークとていい文化祭にしたいと当然思ってる。
しかしいくら意見を言えども必ずアスランの意見が通ってまう現実にイライラは募るばかりだったのだ。
そもそも生徒会長の立候補は自分1人だった。

それが投票前日になってアスランが立候補したのだ。
投票日前日に立候補したにも関らずイザークとはかなりの票差で生徒会長に就任したアスランに敵意をもたないわけがない。
ともに戦い、その上での結果なら文句はない。しかし、自分はまるで土俵の外という感じだ。
俺はなんだったんだ?っと思ってしまうのも仕方がない。プライドがずたずたにされたのである。

しかも年上の俺にタメ口なところも腹が立つ!!
が、少し冷静になってくると自分の間違いに気づく。確かにさっきの俺の意見は個人的なものからだった。
ちらりとカガリのほうに眼をやるとまだキラに慰められていた。
ラクスも心配そうに見つめている。


「・・・・・いや・・・確かに俺も悪かった・・・すまない・・」
イザークは勇気を出してカガリに誤った。泣かせるとは思わなかったのだ。
まさに売り言葉に買い言葉、2人の性格からしてどちらも引かないので仕方ないといってしまえばそれまでなのだが。
すまなそうなイザークの顔をカガリはじっと見ている。

なんだ・・・まだ怒っているのか?しつこいやつだな・・・
イザークは冷静になった頭がまたかっとなるのを感じた。文句を言おうとしたそのとき

「お前 実はいいやつなんだなぁ!」

カガリはまぶしいぐらいの笑顔でイザークに近づいた。
「ちゃんと謝れるやつに悪いやつはいない!私もすまなかった。アスランの意見を否定ばっかりしてるからかっとなったんだ」
カガリはイザークの目の前にいる。
「でも、お前はお前の考えでああ言ったんだよな」
カガリはぐっとイザークの顔に自分の顔を近づけ笑顔でそう言った。
その瞬間、イザークの顔が怒りではない何かでカァッと真っ赤になった。

「おまっっっ」
イザークはカガリの近すぎる顔に驚き「離れろ」っと文句を言おうとしたそのとき、急にカガリの顔が遠のいていった。
その速さに驚きながらカガリの後ろを見ると先ほどと同じすごい睨みを利かせたアスランがカガリの手を掴んで
後ろへと引っ張っていた。
「カガリ 話し合いを再開していいか?」
先ほどのイザークを見ていた瞳とは180度違う、今まで見たこともないような優しい眼をしたアスランがカガリに
問いかけていた。
「あ、すまない・・・中断させて」
アスランを見上げながらカガリが言うと
「いや、ありがとう」
とアスランは笑顔で返す。

ありがとうの意味がカガリには分からず首をかしげたがとりあえず席に着いた。
アスランはそのとき暖かい気持ちでいっぱいだった。
誰かが自分のために泣いてくれる・・・家族は泣いてくれるだろう・・キラも・・・
でも、カガリは会ってまだ2日しかたってないのに自分のことを大事に思ってくれている。
そう思えることがアスランの胸に暖かさを与えていた。

その後、話し合いは順調に進んでいたがイザークは少し怪訝な顔でアスランをチラ見していた。




あとがき
やっとイザークが登場した・・・すみません。
アスカガの甘甘な感じを早く読みたい人には面白くないかもしれない・・・。
イザークはこの後カガリに恋をするのでしょうかねぇ?
カガリはまだアスランのことをなんとも思ってないみたいだし。
アスランはカガリが好きって感じですが。
バルドフェルドさんのセリフを書きながら思ったこと、
ユ・・・ユウナみたいなしゃべり方だ!!
いや・・ユウナ好きなんですけどね。あほ過ぎて。
ただバルドフェルドって書かないとユウナと取れるのがちょっと・・・。



戻る
次へ