お昼休み、3年の教室で1人うなってる人間がいた。イザーク・ジュールである。
なんか知らんがあのアスランの表情が頭から離れん!!!
なんだ?あの見たこともない優しい笑顔は?
机に参考書を開いているものの頭の中はこの間のアスランとカガリのことでいっぱいである。
イザークの知っているアスランは冷静で真面目で偉そうでもてて、嫌味なやつで・・・言ったらきりがないのだが。
とにかく他人に興味のない人間だ。
以前、告白されているところを目撃したとき、アイツはどんな困った顔をするのかと思ったら
「興味ない」
と冷たくあしらったのだ。
告白されてあの態度はないだろう!断るにしても女性へのあの態度はなんだ!
と怒ってやりたかったが覗いていたことがばれると嫌な為(たまたまなのだが)そのまま無視をした。
それからも何度か見かけたのだが態度は変わることはなかった。
だいたいあんなやつのどこがいいんだ!?っとクラスメイトの女子に聞いたら
「かっこいいとは思います」と言われた。
かっこいい?のかもしれないがあの性格だぞ。
ところが・・・だ。あのカガリとか言う女を見たときのアスランの顔は今までの女を見る眼とは全く違った。
何故ちがうんだ・・?なぜ・・・?
「イザーク どうしたんだ?1人考え込んじゃってさ」
イザークが1人悶々としていると同じクラスのディアッカ・エルスマンが声をかけてきた。
イザークはキッとディアッカを睨みつける。
「ああ、またアスラン・ザラ絡みね」
ディアッカはあからさまに分かった分かったという顔をしながら頷いた。
「で、何?今度は何があったの?」
聞きたくはないものの、ちょっとづつ聞いておかないと後で自分が苦労すると思い、声をかけた。
「なぁ 人の眼が変わる時ってどんなときだ?」
「は?」
イザークのあまりにも意味不明な言葉にディアッカは眉をゆがめる。
「アスランがカガリという女の見るときの眼が優しかったんだ その前まで俺のことを睨みつけてやがったのに」
イザークはあの出来事を思い出しながら不思議そうに言った。
それを聞いたディアッカは目を丸くした後
「へ〜あのアスランがねぇ・・」
と意味深な顔をしながらつぶやいた。
「なんだ?貴様には分かるのか?」
妙に納得じみた顔をしたディアッカにある意味尊敬にちかい表情で言葉を返す。
「あれだよあれ!恋!」
コイ・・鯉?こい・・こ・・・恋!?
イザークはあまりの衝撃に本人は気づいてないが「恋!?」と叫んで教室中の注目を浴びていた。
しかし、それに気づくこともなく
あのアスランが?女にありえないほど冷たく対応していたあの男が?
あのうるさくて男っぽい女に恋をしてるというのか?
ありえない!!!
イザークは脳をフル回転しながらあり得ないであろうと思いつつもあのアスランの眼差しがそれを肯定している。
イザークは何かを決意したように教室を出て行く。
「おい?イザーク!?」
何も言わず教室を出て行く姿を見て慌てて呼び止めるが、イザークはそんな言葉などまるで耳に入っていなかった。
輝く星〜思いの行方〜
「ふーお腹いっぱい!」
カガリはお弁当を空っぽにし満足そうにそう言った。
カガリが転校してくる前はアスラン、キラ、ラクスでお弁当を食べていたのだが、カガリが転校してきてからは当然
4人で食べるようになっていた。
カガリは「ラクスってキラといること多いよなぁ・・・」と感じていたのだが自分もラクスのことが好きなので深く考えてはいなかった。
満足そうにお茶を飲んでいるカガリを見てアスランが不思議そうに
「なあ・・・前から思ってたんだけど、お前らの弁当って中身そっくりだよな」
というと同時にカガリが飲んでいたお茶を噴出した。
「うわっ」
カガリの噴出したお茶の被害にあったのはアスランだった。
アスランは無言でハンカチを出し顔を拭いている。その向かいでカガリはゲホゲホと苦しそうにしていた。
どうやらお茶が気管にはいったらしい。
「そ・・そうかなぁ・・?」
カガリのむせてる様子も目に入らないキラが慌てたようにアスランに言う。
何でそんなに動揺するんだ?
誰が見ても明らかに動揺している。
やっと落ち着いたカガリはちらちらとキラのほうを見ている。
キラもそれを見て何かを考えてるようだ。
「今日、僕の家に寄らない?」
そういうキラの瞳は真剣なまなざしたっだ。それに反応するかのようにカガリがキラの袖をくいっと掴んでいた。
キラはそんなカガリににこっと微笑みかけた。
はたから見るとその姿はまるで恋人同士のようである。
アスランは胸がチクリと痛むのを感じながらもいつもと違うキラとカガリの様子が気になっていた。
「はい。是非」
2人を無言で見つめていたアスランはラクスの返事で我に返る。
「ああ、寄らせて貰うよ」
ラクスに続いてアスランもそう答えた。
行けばわかるだろう・・・そう納得しつつもなぜか心は曇ったままだった。
そんな4人の姿をドアの影からイザークが見ていた。
あの男女をアスランは好きなのか?
不服そうな顔をしながらひたすらカガリを見ていたが
何で自分はこんなことをしているんだ・・とバカバカしいと感じ出してカガリから目を逸らそうとしたが何故か
目はカガリから離れない。
蜜色の髪をきらきらさせてアスランの制服にもかかってしまったお茶をハンカチで拭いている。
時々見せる無垢な笑顔はイザークの瞳に焼き付いていた。
放課後、4人は一緒にキラのうちに向かっていた。
キラはラクスと楽しそうに語り合っている。
必然的にカガリとアスランは並んでいる。
カガリは楽しそうなキラとラクスを見ながら不思議そうにアスランの方を見た。
「何?」
カガリの視線に気づいたアスランは優しく返した。
「いや、深い意味はないんだけど・・キラとラクスって何であんなに仲いいんだ?」
アスランは言っている意味が分からなくて首を少しかしげる。
「仲がいいのはいいんだ!!ただアスランとは幼馴染って聞いてたけど、ラクスも何かあるのかなーって思って」
カガリはアスランに伝わるように言葉を探しながら言った。
「ああ、知らなかった?2人は付き合ってるんだよ」
「え!?そうなのか!?」
初耳だ。聞かれてないのだからわざわざ言わなくても・・というのもあるかもしれない。
しかし、自分にぐらい教えておいて欲しかった。
もちろんキラもラクスも大好きだからこの上なくうれしい。でも、教えてもらってなかったということがちょっと寂しく感じられ
その思いが、顔に出てしまう。
それを見たアスランはカガリの表情を「キラに恋人がいるのがショックだった」と取ってしまった。
胸がチクチク痛む。この気持ちはなんだろう・・・?
ふとカガリと目が合う。
「どうした?具合でも悪いのか?」
さっきまでカガリも辛そうにしていたのに自分のことを気にかけてくれているカガリをとても愛しく感じた。
そのときアスランの中で今までの出来事が1つにつながった。
俺は・・・カガリのことが好きなのか!?
4人はキラの家に着いた。するとキラが
「カガリ お茶を持ってきてくれる?」
と、まるでカガリがこの家のことを知っているかのように言った。
「うん」
とカガリはそれに頷きキッチンの方へ向かった。
それを見ながら俺たちは2階へと上がっていく。
上がりながら「何故カガリがお茶を持ってくるんだろう・・?普通キラじゃないのか?」という疑問が浮かんだ。
確かに知っていてもおかしくない。イトコなのだから・・・だが、ここはキラのうちだ。キラが持ってくるべきではないのか?
どちらかというと、カガリよりは自分が持ってきたほうがおかしくない・・とまで思った。
幼馴染だから何度もこの家に来たことはあるのだ。
そんなことを考えながら頭の中はさっきのことを思い出していた。
カガリはキラのことが好きなのだろう・・・だが、キラはラクスと付き合っている。
そして俺は・・どうやらカガリが好きらしい・・・・。
先ほど気づいた自分にはありえない(というか考えてもいなかった)事態にアスランは自分が何を考えているのかも
分からなくなるほど混乱していた。
キラの部屋に入るとテーブルを囲んで座った。
しばらくするとジュースとお菓子を持ったカガリが入ってきた。
ジュースを渡しているカガリの顔は心なしか緊張している。
「実は僕たちのことで隠してることがあるんだ」
キラはカガリが座るのを見計らって話し始めた。
「その・・・言おうか迷ったんだけど、アスランとラクスには知っててもらいたい」
そう言ってキラはカガリのほうを見た。
それを「言ってもいい?」と聞いてきたと受け取ったカガリはこくんと頷く。
キラがそこまで思う2人なら大丈夫だろう。実際カガリもアスランとラクスに深い好意を持っている。
アスランとはちょっとかみ合わないところもあったが、いろいろ話していくうちにちょっとした優しさや、考え方など
慕うに十分なものがあった。
今ではキラと同様大事な人だ。もちろんラクスも。
「実は僕たち双子なんだ」
キラはカガリと目配せした後、そうはっきりと言った。
それを聞いた2人はというと・・・
アスランは理解できてないのであろう。目を大きく開いて頭を真っ白にしているようだった。
ラクスは先ほどと変わらずニコニコとしている。
カガリはラクスのあまりにも変化のない表情を不思議に思う。
別に驚いて欲しいとかそういうことではないのだが・・・
「あの・・・ラクス・・」
カガリは思わずラクスに問いかけていた。
「私、うすうす気づいてましたので」
先ほどと変わらない笑顔でそう言った。
「「え??」」
2人は声を合わせて驚いた。
「いえ・・確信があったわけではないのですが、お2人の雰囲気というかなにか・・こう・・いとことは思えないものがありまして」
右手を口に当て、お上品どころか女神のような微笑でそう言われ、2人は思わずポーっとしてしまった。
「ですがだからといってカガリさんもキラも何も変わらないでしょう?」
2人は自分たちが認められたような気がして顔を合わせ微笑んだ。
そんな様子を固まったまま見つめている少年が1人・・・アスラン・ザラだ。
何・・?キラとカガリが双子?イトコじゃなくて?
でも、キラに兄妹がいるなんて聞いたことないぞ・・?
アスランは思いもしなかったキラの発言に考えが追いつかない。
さすがの優等生も勉強以外は人並みということである。
「アスラン 大丈夫?」
混乱していることが一目でわかった為、キラはアスランに問いかける。
「双子・・・」
アスランはちょっと間の抜けた顔でキラとカガリを交互に見る。
それを見て苦笑したキラは、自分たちのことを2人に話したのだった。
話し終わると時計は18時を過ぎていた。
「じゃあ僕はラクスを送っていくよ」
キラはそう言ってラクスの手を取った。それに気づいたラクスは少し頬を染め
「では 失礼します」とお辞儀をして帰って行った。
話せてよかった。カガリは心からそう思った。
やっぱり隠し事をするというのは心苦しいし、私の性格には合わない。
だけど、なんでも言ってしまえばいいってものでもない。
でも、本当に仲良くしたい人には言ってもいいと思う。カガリはそう確信した。
「ミリィにもいつか言えるといいな・・・」
ぼそっとつぶやいた言葉にアスランは
「言えるよ、きっと」
とカガリの顔を見て微笑んだ。
その顔を見たカガリは心の中がカァッと熱くなるのを感じた。
逆光のせいかアスランのその表情はいつもより優しくて暖かくて・・とてもドキドキするものだった。
なんだろう・・・この気持ち・・・
カガリは今まで感じたことのないその感情に戸惑っていた。
「じゃあ」
そういってアスランは片手を挙げて自宅の方へ向き歩き出す。
「あ 送っていくよ」
その言葉にアスランはぷっと笑いながら
「女の子に男が送ってもらっても仕方ないだろ?ありがとう近いし大丈夫だよ」
そういって帰っていった。
カガリはアスランの後姿をずっと見送っていた。
家に帰ったアスランはベットに倒れた。
「ふぅ」
・・・・好き・・・か・・・
可笑しなものだ。
今日だって呼び出された女の子に冷たい言葉を投げつけてきたんだ・・・
もし俺がカガリに告白してそんな言葉を言われたら・・・言われたら・・・
「!!」
思わずベットから飛び起きる。
何を考えてるんだ?俺は・・。
さっきカガリが好きだと気づいたばかりなのになんで告白だなんて発想にいくんだ!?
アスランは自分の想像した内容に自分で驚いていた。
そもそもカガリが好きなのは・・・え?キラと双子だということは・・?
ふとあのときの寂しそうなカガリの顔を思いだす。
? 少し考え込んだがアスランにはその表情を読み取る力はなかった。
恋などしたことがないからだ。
今まで恋だの愛だのは自分に関係ないことというより必要だとも思わない程度の問題だった。
だからこそ告白してきた子にあんな言い方ができたのだ。
それが今はどうだ?
相手の気持ちを考え不安になり、想像するだけで胸が高鳴る。
「ああ・・・俺・・」
そこまで考えると、今まで自分がしてきたことが胸に突き刺さる。
(付き合ってください)
どんな思いでその言葉を発したんだろう・・・
(お、お友達でも・・)
なのに俺は・・・
(困るんだ、興味ない)
そう言って背を向けて去っていった。
「こんな俺はカガリを好きになる資格なんてない・・・」
好きだと自覚したとたんにアスランは諦めの言葉を口にした。
忘れよう・・・今まで通りでいいんだ・・・
カガリは・・・キラと双子だったから気になっていただけだ・・・。
アスランはそういいながらも割り切れない思いを抱えていた。
「キラ お帰り」
ラクスを家まで送ったキラが帰ってきたのをドアの開く音で知り、急いで玄関まで行った。
「ただいま」
心なしかキラはすっきりとした表情をしている。
「ごめんね 勝手な事して・・」
双子だという事実を2人に話したことを言っているのだろう。
だがカガリは言ってくれて良かったと思っているので笑顔でそれに答えた。
「あ!それよりも どうしてラクスと付き合ってること言わなかったんだ!?私びっくりして・・」
すまなそうにしているキラを見て話題を変えようと思いつくことを口に出してしまった。
それは聞いていいのかどうか少し不安に思っていたことだった。
なぜならキラはカガリにそのことを話してなかったのだから・・・。
「ああ ラクスからのお願いだったんだよ」
「ラクスから」その言葉にカガリはどういうことだ?っと目で訴える。
「ラクスにはイトコが来るって言ってたんだけど、彼女って紹介するねっていったら
まずはラクス個人としてお友達になりたいって言ってきたんだ」
ラクス個人?
ああ・・それはキラの彼女だから友達になろうというのではなく、まずはクラスメイトとして仲良くなろうということか。
それはなんとも彼女らしい考え方だった。
カガリはますますラクスが好きになった。
「うれしい ラクス」
ラクスにも劣らない美しい微笑みがキラの瞳に映る。
「アスランは混乱してたみたいだね」
ドキン・・・
カガリは「アスラン」という言葉に何故か反応してしまった。
それはキラも気づかないカガリにしかわからない程度のものだった。。
「大丈夫だよ アスランはちょっと近づきにくいとことかあるけどほんとにいい奴なんだ」
「うん。そうだな」
カガリの頭には先ほどの優しいアスランの笑顔が浮かんでいた。
あとがき
それにしてもアスカガラブラブしませんねぇ・・・
そのうちたまらないぐらいにラブラブになる予定なんですが・・・
ザラは性格変わっちゃいます。
カガリ好き好きですから(笑)
カガリは恋に落ちかけてます?
ま、鈍感な子なんで・・・