ある日、フラガ先生にカガリは呼び出された。
なんだろう?まだ暴れたりはしてないけど・・?
カガリが変なことを考えるのにもわけがある。フラガ先生とは面識がないからだ。
授業を受け持ってもらってるわけでもないし、話したこともないからだ。
とりあえず呼ばれたのは確かなのだからと職員室へ足を向けた。
ドアを開けると右の一番奥にフラガ先生が見えた。
カガリは真っ直ぐ先生の方へ歩いていく。
「カガリ・ユラですが」
「おお ユラか 悪かったな呼び出して!」
ムゥ・ラ・フラガ先生はまるで少年のような明るさで話しかけてきた。
「話しやすそうな先生だな」カガリの第1印象は良かった。
「アスランから聞いたんだが生徒会に入りたいそうだな」
ああ、そういえばこの人は生徒会の顧問だった気が・・・する・・?
あいまいな記憶だが確かそんなことをキラが言っていたのを思い出した。
「はい」
生徒会にはキラもラクスもアスランもいるため、まだ生徒会に入ったわけではないが毎日のように行っていた。
毎日いろんな行事について話し合い、考えをまとめていく。
つまらないような作業だが、自分の意見が通るとうれしいものである。
そうなるとどんどん意見を出していき、やりがいへと繋がる。
カガリはすでに、やりがいへと変化していたのだった。
といろいろ考えていると目の前に白い紙が見えた。
「?」
カガリはとりあえずその紙を手に取る。
「それ、生徒会の入会届け 会計ってことになるから」
とうれしそうにウインクしながら言った。
ウインクにはちょっと引いたが実際に生徒会の一員になれるという喜びに
「失礼しました!」
と元気よく挨拶し、職員室を後にした。


輝く星〜不安と嫉妬〜



1段2段・・・3階・・カガリは進む階段を数えながら急いで教室に向かっている。
「アスラン!!」
蜜色の髪を輝かせながら教室にいるアスランに呼びかける。
アスランは自分の席にいた。
何事だ?という感じで目を見開いている。
「ふっふーん! ほら 生徒会入会申込書!」
カガリはうれしそうにアスランの目の前に先ほどの用紙を差し出した。
「カガリ・・・が生徒会に・・?」
アスランの声のトーンを聞いてカガリの顔が曇る。
「あ 迷惑だったのか?」
「いやっ」
アスランは慌てて否定するが、内心は微妙な気持ちだった。
昨日カガリを諦めようと思っていたのに、今はこんなに近くにいる。しかも生徒会に?
はぁ・・っとため息をつきたい気持ちになったがそんなことをしてはカガリが余計に不安になってしまうと思い。
喉で何とか食い止めた。
「頑張れよ」
それしか言えなかった。
どうしていいのか分からない・・・
勉強ができてモテる(らしい)がそれがなんになるのだろう・・まるで自分の今までの人生を否定するようなことを考えてしまう。
カガリは「頑張れよ」と言われたものの、アスランのその表情が気になっていた。

そんな2人の様子を購買から帰ってきたキラとラクスは顔を見合わせながら見ていた。
アスランって・・・・
キラの脳裏に思いもかけない発想が浮かんだ。
カガリが好き?
正直、本当にそうなのかどうかは分からない。でも、カガリといるときのアスランの表情は今まで見たことのないものばかりだった。
他の女の子にしていた迷惑そうなものではなく、むしろ自分が片割れを見るものに近い。
「ラクス」
「はい」
「僕嫉妬しちゃうなぁ・・・」
カガリは大事な片割れである為、大切なのは当然である。
しかし、キラたちの場合は少し事情が違う。別々の家庭で育てられた為、会える機会は与えてもらっていたものの
実際に会えるのは月に1回程度であった。
それが今、やっと毎日一緒にいられるようになったのだ。
やはり双子というものは不思議でどんなに長い間会っていなくても会話に困るということもなくそわそわするということもない。
むしろ一緒にいると安らげるのだ。
そんな時間をやっと手に入れたのにそれをアスランに取られる気がした。
もちろんアスランは大好きだし、カガリと仲良くなるのはうれしいことである。
でも、だから寂しくないというわけにはいかなかった。
あのアスランが恋をするなんて・・・
しかしあのアスランに恋愛ができるのだろうか?
キラは今までの親友を思い出し、不安になった。
カガリの気持ちは分からないけど、上手くいって欲しいと思わないわけでもない。
なにより他の奴に取られるぐらいならアスランがいい!とまで頭は進んでいた。
「よし!」
キラは何かを決意したようにそう気合を入れた。
ラクスはそんなキラを見てあらあらと言わんばかりの微笑を浮かべていた。


「アスラン話があるんだ!!」
キラはカガリがトイレに行っていない隙にアスランの机の前で仁王立ちしながら言った。
何でこんなにケンカ腰なんだ?
とアスランは不快に思ったがキラの眼は真剣な眼差しをしていたのでそれは言わないでおいた。
「なんだ?」
「放課後、生徒会室に行く前に体育館の裏まで来て」
おいおい、お前まで愛の告白じゃないだろうな・・そう冗談に思いながら、それだけを言い席に戻って行く親友の背中を見た。
俺に選択の余地はないのか・・・
少し不振に思ったが何かは分からないが大事な話があるのだろう。
そう思い放課後に体育館の裏に行くことにした。


放課後になり体育館の裏に行くとすでにキラは来ていた。
こちらをぎっと見ている。
はっきり言ってお前ににらまれる覚えはないぞ・・・
そう思いながら一歩一歩キラに近づいていく。
キラはきょろきょろとまるで周りに誰もいないか確かめるような仕草をしている。
そして誰もいないことを確認したキラは口を開いた。
「アスラン 正直に言って欲しいんだ」
キラの突然の言葉にアスランは眉をひそめた。
「ひょっとして君・・・カガリのこと好きなんじゃない?」
キラのその言葉にアスランはカァァァァっと真っ赤になるのを感じた。
ああやっぱり・・・とキラは親友の情けなくも可愛くも感じるその顔をじっと見ていた。
「い、いや・・お前・・なっなんで・・・っ」
真っ赤になった顔を何とか落ちつかせようとしながらアスランはキラにどもりながらそう言った。
「好きなんだ?」
キラはきちんとアスランの口から聞こうともう一度問う。
「・・・・・・・・いや・・・好きじゃない。ダメなんだ・・・」
アスランの態度と全く違う答えがキラに返ってきた。
それを聞いたキラは少しむっとした。
確かに自分が口を挟むことではないのかもしれない。しかし、協力したいと言う思いはふざけた感情からきたものではない。
カガリもアスランも好きだからこうして呼び出したのだ。
それにしてもダメとはどういうことなのだろう・・?
「ダメってどういうこと?」
アスランはキラのその問いに無言で下を向いている。
そのまま数分、2人は無言のまま向き合っていた。
その沈黙を破ったのはアスランだった。

「好きだと気づいたのは・・ほんと最近なんだ・・あの明るい笑顔を見るたびになんだか・・うれしくなって・・」
キラはじっとその言葉を聞いている。
「自分でも知らなかった俺を引き出してくれるんだ・・・無意識に・・」
そういった後アスランは苦しそうな表情をし手をぎゅっと握り締める。
「・・人を好きになるってこんなに苦しいと思わなくて・・・俺は今までたくさんの子を傷つけてきた・・」
「そんな俺がカガリを好きになるなんて・・人を好きになるなんてあってはいけないんだ・・・っ」
アスランは搾り出すような声で言った。

「それが何?」
そんなアスランの表情を真っ直ぐ見据えながら続けた。
「確かにアスランは人を傷つけたけど、だからって自分を犠牲にするのは違うと思うよ」
「今気づいたんだからいいじゃない」
キラはそう言ってアスランを見つめた。
「キラ・・・」
俺はカガリを好きな気持ちを封印しようとした・・・
でもカガリを見るたびに好きな気持ちが膨らんでどうしていいか分からなかったんだ。
もしかしたら・・・誰かに好きでいてもいいよと言って欲しかったのかもしれない。

「・・・俺・・・」
「うん。頑張って」
キラは親友として精一杯応援してあげようと誓った。
「じゃあ先に生徒会室に行ってるね カガリは用があるから遅れるっていってたよ」
「ああ」
キラはうれしそうに生徒会室へ向かった。
「キラ!」
アスランに呼ばれキラはくるっと後ろに振り向く。
「ありがとな」
「うん」
そう言ったキラはアスランがよく知る世話のかかる少年ではなく、自分よりもかなり頼もしく見えた。

カガリを好きでいられる・・・なんだか、もう少しこの気分に浸っていたかったため、
アスランが「もう少しここにいよう」そう思ったときアスランがいる体育館裏の影から人の声が聞こえた。
何を言ってるのか良く聞こえなかったが、意識を集中させるとその言葉が聞き取れてきた。
「す・・好きなんです」
どうやら男のほうが女の子に告白をしているようだ。
初めて聞く他人の告白に、ここにいてはいけないと思い反対側から立ち去ろうとしたそのとき
「カガリさんが転校して来た日から気になってて・・・」
その言葉にアスランは一瞬にして固まる。
「カガリ」。告白をされた子は「カガリ」というのか?
アスランの頭の中は思考が停止している。その間にも会話は進んでいく。
「あ・・あの・・・私は・・」
カガリの声だ。
カガリが告白されているのか?誰に?どうして?
アスランは状況が飲み込めない状態で頭に入ってくる言葉すべてに「?」をつけて問う。
「友達からでもいいんです!」
先ほどまでおずおず話していた男がカガリのあいまいさに押せば何とかなると思ったのか、強気な話し方に変わる。
「友達?」
「はい!今度の休みにどこか行きませんか!」
「え・・・いや・・・」
「どこがいいですか?」
アスランは混乱していたが、告白されているのはカガリで相手の男が無理やり遊びに行こうと誘っているのは理解できた。
「私は・・・」
いつもの男勝りなカガリはどこへ行ったのか、おずおずした話し方はいつものカガリからは想像もつかない。
アスランはそんなカガリの態度にイライラし始めた。
「待ち合わせどこにしようかなー」
カガリが言葉に詰まっている間にも男は話を進めている。
「じゃあ10時に・・」
と男が言い終える前にアスランは飛び出していた。
「悪いが カガリはお前と遊びに行くつもりはない」
いきなり出てきたアスランにカガリはびっくりして固まっている。
アスランはそんなカガリを庇うかのように男とカガリの間に立った。
「ア・・アスラン・ザラ・・?」
「用は済んだだろ 行け」
アスランは睨みつけた。
男は青白い顔をして走り去る。アスラン・ザラを敵に回すと恐ろしいことになる、関るな。それは暗黙の了解だった。

アスランは男を見ていた鋭い瞳のままカガリに眼をやる。
「あ、ありがとな。すまない・・」
カガリは下を向いたまま顔を赤らめている。
その表情を見たアスランはイライラが更につのった。
「嫌なら嫌だとはっきり言えよ。相手が期待するだろ」
自分が言える立場ではないのは百も承知している。だが今はそんなことよりカガリへのイライラの方が勝っていた。
「それともアイツのことが好きだったのか?」
アスランは自分で言った言葉に眉をひそめる。
「ちがっっ」
カガリはがばっと顔をあげ否定した。
その瞳に映ったのは恐ろしく鋭い眼光を放ったアスランだった。
その瞬間カガリはまた固まってしまった。
アスランのあんなに怖い顔を見たのははじめてだった・・・


2人は無言のまま生徒会室へと向かう。
文化祭が近づき生徒会役員も忙しい日々が始まっていた。
生徒会室へ向かうなか、アスランはなかなか苛立ちがおさまらない。
付き合う気がないのならどうしてはっきり言わないんだ・・・
カガリの性格なら「悪い。付き合えない」とはっきり言いそうなものだが・・・
と・・カガリのほうを見るとしゅんとしたままアスランの後を歩いている。
そんなカガリの姿を見ると「カガリの笑顔が見たい・・・」と、イライラも忘れ、アスランはそんなことを考えた。
気分を変えるように1つため息をつき
「カガリ・・・今度困ったことがあったら俺に言えよ」
とアスランは笑顔でカガリの顔を覗き込みながら言った。
すると先ほどまで沈んでいたカガリの顔がぱあっと明るくなった。
「ああ」
カガリは笑顔になった。

・・・・可愛い・・・・

アスランは思わず目を逸らしてしまった。
そういえば・・・自分の気持ちでいっぱいで考えたことがなかったが、カガリはモテるのだろうか・・?
俺は可愛いと思う。すごく。
他に人から見るとどうなのだろう?告白されるぐらいだから可愛いんだろう。
輝くような蜜色の髪。真っ直ぐ人を射る琥珀の瞳。分け隔てのない性格。自分より人のことを考える優しい性格。
カガリの良いところを一つ一つ思い描きながら挙げていく。
「やばい!!!!」
思わず思ったことが声に出ていた。
「どうした?アスラン?」
いきなり発せられた意味不明な言葉にカガリは不思議そうに聞いた。
「ああ、なんでもないっ」
慌てて返す。
アスランはどう考えてもモテて不思議ではないカガリに気がついた。
もしかして告白されたのは今回が初めてじゃないのか!?
あって欲しくないことだがありえないことではない。
・・・聞きたい・・・アスランはそんな衝動に駆られた。
しかしすでに生徒会室の前にたどりついていた。
「あれ?アスラン、カガリと一緒だったの?」
ドアの隙間から2人の姿を見つけたキラは書類をまとめながらそう言った。
「うん、途中であったんだ」
そう言ってカガリはキラのほうへ駆け寄る。
そんなカガリの姿をみながらとりあえず今は生徒会の仕事をやってしまおう。そう思い部屋に入っていった。

「遅い!!」
部屋に入るとすぐにイザークの怒鳴り声が響いた。
「なんだよ 大きい声出して」
イザークのあまりに大きい怒鳴り声にカガリが反論する。
「カガリ お前今日から正式に生徒会に入ったんだってな」
「ああ」
アスランはイザークが「カガリ」と呼んだ事に驚いた。
今までは貴様とかお前としか呼んでいなかったのに、しかもユラではなくカガリ・・だ。
アスランはちらりとイザークを睨みつける。その睨みはやはりいつもより鋭いものだ。
やはりな・・・
イザークはそんなアスランの様子を見て思った。
ディアッカから恋だと聞いたときはまさかと思ったが、この様子では間違いではなさそうだ。
俺も恋愛に疎いほうだとは思う。しかしあんな優しい表情と「カガリ」と呼んだ時の俺を見る眼を見てしまうと確信してしまう
のも仕方ない。
あんなに冷静な奴でも恋愛が絡むとこんなに感情を表に出すようになるのか・・
イザークには思いつかないような駆け引きだった。
もちろんそれを提案したのはディアッカである。

「アスランのお姫様への気持ちを確かめたいんならやってみな」
そうディアッカはイザークに言った。
「お姫様?」
先ほどまでカガリ・ユラの話をしていたのに全く関係ないと思われる「お姫様」という単語に疑問が起きる。
「カガリ・ユラのことだよ 可愛くて高貴な感じからそう言われてるらしいぜ」
「ま、本人は知らないだろうがな」
姫・・・あの女が・・?

「お菓子持ってきたんだ 食べながら話し合いしよう」
今、目の前にいる少女はそんな風に見えるのか・・?
「カガリ・・・」
あきれたようにアスランが言う。
アスランにもそう見えるのだろうか・・・?
そんなことを考えながらカガリのほうへ目をやると
「ほい!」
なんと目の前にポッキーとカガリのアップがあった。
「うおおおお!?」
イザークは思わず変な声を上げる。
「人間 お腹空いてるといい考えが出ないからな」
そう言って笑った顔は確かに「お姫様」のように美しかった。

アスランはそんなカガリを見るイザークに不安を感じていた。
「告白されたのは初めてじゃないのか?」「モテて不思議ではない」先ほど頭を駆け巡った衝撃的な考えがまた頭をよぎる。

俺は・・・嫉妬してるのか・・・

今まで感じたことのない感情はすべてカガリに対する嫉妬だったのか?
他の男に告白されているのを見ればイライラし、イザークがカガリと呼んだことにもイライラし、
そして今、イザークとカガリが見つめ合ってることに不安を感じる。
人を初めて好きになったアスランにはあの苛立ちがカガリに対する嫉妬だったことにやっと気づく。
カガリというよりもカガリに近づく男にだ。
自分がこんなに嫉妬深い人間だとは思わなかった・・いや、知らなかったのであろう。
俺・・・理性保てるのかな・・?
それに気づいてしまった今、カガリへの思いは爆発しそうだった。




アスラン爆発しちゃう??・・・どうでしょう(笑)
ごめんなさい・・・なんでこう・・長いんだろう・・?
ぐだぐだかいてますねぇ・・性格なのかな?
いつになったら両思いになれるんだろう・・・
言葉だけを増やすと回転早いんですけど、
感情とか細かく入れちゃうともう・・・っっ
妙にキラとアスランの友情も多いし。
クッション入れないとアスランは恋がうまくできませんから・・・
ラクスにしちゃうと・・・それはそれで怖いし。
「さっさと告白なさい」とか言わせちゃいそうで・・




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